日本エネルギー会議

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福島の復興について考える(27)

震災と原発事故から8年たつが、福島の復興はまだまだこれからだ。これは先に復興庁の後継組織づくりを国に要請した内堀知事をはじめ、多くの県民の声だ。特に浜通りはいまだに避難指示が解除されていない地域が残っており、そこは復興の緒にもついていない。今までの8年に続いてさらに10年後を見据えて復興を仕上げていかねばならない。復興と言えば以前のようにと考えるが、これから10年かかるとすれば、それは未来の福島の姿を考えるということになる。

インダストリー4.0(日本では「第四次産業革命」と呼ばれる)では、人間の代わりにAIが機械を自動制御するため、今までになく大きな技術革新が予想されている。その中で急速な人口減少、高齢化で世界の先頭に立つ日本。そのような状況で復興の仕上がりを想像するのであれば、未来の社会を先取りしたビジョンを持たなくてはいけないということだ。現行の復興計画、ビジョンを見ると、福島イノベーションコースト構想(注)がその未来を想定し、未来を引き寄せるような内容になっているほかは、残念ながら未来の社会のイメージではなく現在の延長線上でしかないように思える。

忘れてならないのは、10年後でも福島第一原発の廃炉はまだ道半ばということだ。トリチウム汚染水の海洋放流についてなんとか地元の了解が取れたとしても、現在タンクにある汚染水をもう一度ALPSで漉し、それを薄めながらすこしづつ放流しなくてはならず、おそらく10年後は放流がスタートしたばかりだろう。その間もタンクは劣化するのでこれからも建て替えが必要となる。

1号機から3号機の使用済み燃料は取り出して乾式貯蔵庫で保管中かもしれないが、デブリについては取り出すためのテストが行われているにすぎないだろう。県内の汚染土壌はすべて中間貯蔵施設に搬入されたが、搬入30年後に県外のどこへ運び出せるかはまだ決まっていないと思われる。解体にともなって発生した放射性廃棄物の搬出先は決まらず、福島県はとりあえずの現地保管について決断を迫られている。福島第一原発5、6号機と福島第二原発の4機の廃炉はスタートしているかもしれない。10年後でも廃炉関係で5000人以上の作業者が現場にいるはずだ。

10年後でも、福島第一原発を完全に解体撤去する方針が変わらないと仮定すると、こうした状況がその後20年から30年続くことになる。福島第一原発の廃炉を支えるヒト、モノ、カネがその頃もしっかりと確保されなくてはならないがその保証はない。人口減少、高齢化、GDP世界ランキング低下、国際収支の赤字化、累積財政赤字の深刻化、アジア情勢の緊張などの予測がされているなか、どうやって福島第一原発の廃炉を完遂させていくのか。カネの問題だけでも見通しは暗い。

チェルノブイリ原発のように、廃炉のための各国の支援体制が作られることはないのかもしれないが、いずれかの時点でグリーンフィールド化(完全な解体撤去と更地化)は諦めざるを得なくならないか。万一、そうだとすると福島県民は事故を起こした原発を半永久的に地域に残していくという究極の決断をしなくてはならなくなる。

(注)
福島イノベーション・コースト構想は、国と福島県が東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するため、地域の新たな産業基盤の構築を目指すもので、廃炉、ロボット、エネルギー、農林水産等の分野におけるプロジェクトの具体化を進めるとともに、産業集積や人材育成、交流人口の拡大等に取り組むもの。(経産省HPより)

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