日本エネルギー会議

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新年挨拶に思うこと

毎年恒例の日本原子力産業協会の新年の集いにおける今井会長の挨拶を協会のホームページで読んだ。昨年と同様、冒頭、「原子力発電がベースロードとしても地球温暖化対策としても大きな役割を期待されていますが、その役割を果たすためにも社会の信頼獲得に努めなければなりません」とある。何故、信頼が回復しないのか、そこはどのように思っているかを聞きたいところである。

挨拶文の中からどのようにして信頼回復を成し遂げようとしているかを探したが、残念ながら書いていない。協会の本年の取り組みとして<原子力発電に対する理解の促進> という項目があるので、要は理解活動によって信頼回復をしようとしているようだ。理解活動は必要だが、それによって信頼回復をしようというのは無理がある。信頼回復はズハリ再稼働した原発を無事故で安定的に運転して発電量と二酸化炭素削減量をしっかり見せることではないのか。そして関西電力などの使用済み燃料の貯蔵問題、福島第一原発の廃炉を確実に前進させることではないのか。

福島復興支援について、福島県産品に対する風評は国内外に根強く残っており、当協会としても福島県産品の安全性の理解に向け、科学的裏付けのあるデータを発信する等、風評払拭の一助となるよう努めるとしているが、原産協会の海外とのチャンネルを活かしていまだに輸入禁止をしている台湾、韓国、中国などに対してもっと果敢にチャレンジしてもらいたいものだ。また、昨年暮れの3号機の燃料取り出しの不手際などに触れないのも身内に甘いと思われるのではないか。信頼はメダルのように取りに行くものではなく、勲章のように与えられるものだ。

理解活動としてウェブの記事やプレスブリーフィングをわかりやすい説明にする他、対話活動が大事だと指摘している。これまで協会が築き上げてきた地域や大学などのネットワークを活用し対話活動を充実させる、関係団体や事業者をはじめとする産業界と協力して行うとしているが、陣営内で盛り上がつているだけでは今までと同じ。やらせや動員に終わらないようにしたい。

今月10日付朝日新聞に島根原発のお膝元である松江市における市民団体と学者による「自分ごと化会議in松江」の活動が紹介されていた。市民から無作為に21人の委員を選んで原発について議論をする試みで、意見を出してもらうことが第一目的で結論を出さずに内容をまとめて国、松江市、中国電力に示すというやり方だ。推進派反対派でないふつうの人が発言出来る「安全な場」が提供出来ているという。

昔の原産会議は「国民的立場」を標榜してきたから、中立的な活動が出来る可能性があったが、原産協会となってからは、まったくの業界団体であるために社会からは推進活動としか見られず、会議を開催しても、ふつうの人が発言するには「安全な場」とは言えなくなってしまった。国主催でも同じだろう。松江のような試みが消費地も含め全国に広がるのを待つしかないのかもしれない。

(会長挨拶の全文 原産協会HPより)
新年明けましておめでとうございます。
我が国のエネルギー政策の基本となる「第5次エネルギー基本計画」が昨年7月に閣議決定され、原子力は引き続き重要なベースロード電源と位置付けられました。また、昨年末にはCOP24がポーランドで開催され、パリ協定を運用する実施指針が採択されました。原子力発電は電力を安定供給するベースロード電源としても地球温暖化対策としても大きな役割を期待されていますが、その役割を果たすためにも社会の信頼獲得に努めなければなりません。
2019年の年頭にあたり、当協会の本年の取り組みについて4点述べたいと思います。

<原子力発電に対する理解の促進>
原子力に対する社会の理解を得るためには正確でタイムリーな情報発信が欠かせませんが、社会の価値観が多様化しエネルギーへの関心や情報入手手段も様々である中で、社会の動静を見ながら常に発信内容、方法については工夫しなければなりません。当協会はウェブサイトやメールマガジン等を通じて情報発信を行っていますが、これらの表現方法にも工夫を凝らしていきたいと思います。
また、発信した情報はわかりやすくなければなりません。プレスブリーフィングやホームページの解説記事の充実により、わかりやすい説明に努めてまいります。
一方的な情報発信だけでは理解は進みません。これまで以上に対話活動に注力する必要があると考えています。これまで当協会が築き上げてきた地域や大学などのネットワークを活用し対話活動を充実させてまいります。こうした取り組みは当協会だけでは難しく、関係団体や事業者をはじめとする産業界と協力し効果的、効率的な情報発信に努めてまいります。

<福島復興支援>
福島第一原子力発電所事故から約8年が経過しますが、福島県内の避難者数は昨年1年間で約1万人減少したものの、未だ約43,000人の方が避難をしておられます。昨年は福島第一原子力発電所事故後の支援拠点であったJヴィレッジが営業を再開し、今年5月には発電所の立地自治体の1つである大熊町の新庁舎での業務開始が予定される等、福島復興は着実に進捗しています。そうした中で当協会も自治体に寄り添いながら、もう一歩先の復興に向けて協力してまいりたいと思います。一方で福島県産品に対する風評は国内外に根強く残っており、当協会としても福島県産品の安全性の理解に向け、科学的裏付けのあるデータを発信する等、風評払拭の一助となるよう努めてまいります。
福島第一原子力発電所では中長期ロードマップに従い廃止措置が進められており、今年は3号機の使用済燃料の取り出しが期待されますが、トリチウムを含む浄化水の処理が大きな課題となっています。昨年には、浄化水の処理について公聴会が行われました。当協会も対話活動などを通じ、海洋放出の影響について理解が進むよう説明してまいりたい。

<国際協力>
福島第一原子力発電所事故後も世界では原子力発電の導入、拡大が進んでおり、日本の高品質な原子力技術には海外から高い期待が寄せられています。原子力技術の海外輸出を通じ、世界の原子力平和利用に貢献するとともに、停滞する国内の原子力産業が活性化し原子力技術の更なる向上や国の成長戦略に寄与していくことが望まれます。
当協会では、アジア近隣諸国や欧米諸国との2国間会合やビジネス交流イベントを開催し、原子力安全の一層の向上と会員企業と海外の産業界との交流を図っています。こうした海外諸国とのネットワークを活かし、福島の状況の情報発信や日本の原子力産業の国際展開に資する取り組みを進めてまいります。

<人材確保・育成>
原子力発電はプラント建設から廃炉、フロントエンドからバックエンドまで幅広い分野で長期にわたり継続的な人材育成が欠かせません。我が国には産官学78の機関が参加する「原子力人材育成ネットワーク」があり、これまで人材育成にかかわるロードマップの作成や情報共有等を行ってきました。しかしながら、各機関が整合性をもって人材育成を効果的、効率的に推進するためには戦略が必要であり、その策定機能を担える組織へと4月に改組することとしています。当協会はネットワーク事務局の一端を担っており、その役割を果たしてまいります。また、少子化の中で原子力産業に携わる人材を確保することが難しい状況にありますが、一人でも多くの志のある学生に原子力産業界に入ってほしいと願っています。小型モジュール炉(SMR)等、次世代炉への期待も高まっており、夢とやりがいのある、社会へ貢献できる産業であることを知ってもらう活動を関係機関と協力して取り組んでまいります。
当協会は会員の皆さまとともに、諸課題の解決に向けた取り組みを進めてまいりますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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