日本エネルギー会議

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福島の復興について考える(31)

イノーベーション・コースト構想は、福島県が東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するため地域の新たな産業基盤の構築を推進しているものだ。廃炉、ロボット、エネルギー、農林水産等の分野におけるプロジェクトを進めるとともに産業集積や人材育成、交流人口の拡大を目指している。産業集積としては、エネルギー関連産業、スマートな農林水産業、廃棄物リサイクルなどを掲げている。そのうち、エネルギー関連産業として具体的には高効率石炭火力、LNG基地、洋上風力等を考えている。

福島第二原発の沖合20キロメートルで始まった浮体式洋上風力3基による風力発電はいままでに変電所を含め585億円が投じられ何かと話題を集めていた。

ところが、世界最大級直径167メートルの風車を持つ7千キロワット三菱重工業製の発電所が、完成後の実証試験で故障が続いて採算が合わず、維持費もかかるため昨年秋に撤去が決まった。2015年から2017年の設備利用率はわずかに3.7%で目標の30%には遥かにとどかなかった。撤去費用は建設費の1割程度かかる。このことは福島県民にあまり知られていない。

直径80メートルの出力2千キロワットの風車(2013年運転開始)は設備利用率32.9%、直径126メートルで5千キロワットの風車(2017年運転開始)は18.5%で、いずれも日立製作所製。これらは引き続き運転する。

日本では北欧やイギリスのように遠浅の海域が少なく、浮体式は風力発電の切り札と期待されていたが出だしでつまずいた。原発でやったように欧米から開発済のものを導入して次第に国産化を図るべきだったのになぜそうしなかったのか。いきなり世界最大級に挑戦したのも問題だったのではないか。やはりヨーロッパのように小型から中型へと少しづつスケールアップして手堅く行くべきだったのだろう。

とはいえ、福島第二原発の廃炉を要求し、県内の原発をなくした福島県としては、洋上風力発電はポテンシャルの大きさと設備利用率が太陽光発電の約2倍で夜間も発電することから、復興の柱として辛抱強く挑戦していくしかない。

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