日本エネルギー会議

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石炭火力廃止と電力会社の対応(1)

石炭は産業革命以来、人々に近代社会を支えるエネルギーとして石油時代を通じても、豊富な埋蔵量、価格の安定した安さ、取り扱いの安易さで使われ続けてきた。
環境先進国と言われるドイツ国でも、電力需要をまかなうために40%近くを石炭火力発電に依存している。途上国では急増する電力需要に石炭火力建設で応じることが多い。下表をご覧いただこう。2017年の日本国内10電力会社の電源構構成である。

黒い部分である石炭火力に注目すると、大手電力会社は三つに分類出来る。第一グループは石炭火力が50%を超えている北海道、北陸、中国、沖縄。第二グループは30~40%台の東北、関西、四国、九州。第三グループは20%台の東京、中部である。この傾向は10年前からあまり変わっていない。化石燃料のうち、石油は北海道を除けば過去のものとなっている。また、天然ガスについては、北海道と北陸が開発されていない。

日本のエネルギー基本計画では2030年度の電源構成でLNG火力発電の27%と並んで石炭火力発電を26%としている。再生可能エネルギーの不安定さを補うものとして、今後も相当期間は重要な電源のひとつであり続けると予想し、石炭火力を廃止するのではなく、超々臨界圧発電、コンバインド・サイクル発電、石炭ガス化複合発電などの技術開発で二酸化炭素排出量をできるだけ削減しようという取り組みを民間に促している。また、それらの技術を途上国などの二酸化炭素削減に役立てたいとしている。

だが、このところの石炭火力に対する世間の風当たりは相当なものだ。キロワットあたりの二酸化炭素排出量が化石燃料の中でも飛び抜けて多いこと、PM2.5問題 もあって石炭の使用を制限しようとする動きが各国で始まっている。パリ協定の目標達成にはまず石炭火力を減らすことに的が絞られ、持続可能な開発目標(SDGs)を目指すことで先進的な企業だけでなく、主要な金融機関が石炭を使用するプロジェクトに融資をしない、あるいは保険をつけないなどの決定をしている。英国は2025年までに石炭火力発電を廃止する方向で、ドイツでも議論が続けられ、つい最近ドイツ政府の諮問委員会は、炭素排出量の削減を目的として、電力会社の強い懸念をよそに2038年までにすべての石炭火力発電所を廃止することに合意した。

日本は原発が動かないこともあって、震災後、次々と石炭火力の建設計画がつくられるなど、世界情勢とは逆行する動きが見られ、石炭火力の電源に占める割合の多い電力会社は国際協調からすると気まずい状況になっている。最近では日本国内でもこの空気を反映してもいくつかの計画が取りやめや変更になった。福島県内の共同火力の担当者も、自分たちの事業の先行きに懸念を感じていると語っていた。

経済産業省はあくまでも石炭火力を守る方針だが、世界の趨勢を読み違えているのではないか。効率化で良い子になると言っても、いったん悪役のレッテルが貼られてしまうとだめだ。いくら政府が民間企業を促したとしても世論や金融機関などが協力しなくては、民間企業は従うわけにはいかない。また、石炭火力の先進技術を途上国に売り込もうとしているが、途上国がこれからも石炭火力を中心に電源開発をするとは限らない。これは頓挫した経済産業省主導の原発輸出の二の舞になりかねない。

では、当の電力会社は情勢変化にどのような動きを見せているのか。次回以降、電力会社ごとに電源構成の特徴を分析するとともに、石炭火力批判にどのように対応しようとしているかについて探索してみる。  

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