日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

石炭火力廃止と電力会社の対応(2)

北海道電力は電源に占める石炭火力の割合が52%と石炭依存が大きい。昨年の北海道大停電のきっかけとなった苫東厚真火力発電所も同発電所の案内パンフレットによれば、「当社最大の海外炭を燃料とする火力発電施設」である。北海道電力の電源構成は次のようなものだ。

北海道電力の場合、他電力ではほとんどなくなっている石油火力が23%もある。一方、水力(56箇所、164万キロワット)を含めた再生可能エネルギーの割合は10電力会社のなかでも一番多く19%である。天然ガス(LNG)火力がないのが一番の特徴だ。石炭火力が多いのは、もともと産炭地であったため、国の政策により石炭の使用をしなくてはならなかった背景もある。

13基ある大型中型の火力発電所(6箇所370万キロワット)のうち、6基が運転年数40年を超えている。今後、経年劣化が進む可能性が高く早急に代替する発電所が必要となっている。北海道は地震や津波の多いところだ。火力発電所がすべて沿岸部にあるため大きな被害を受ける恐れがある。

北海道電力にとって原発建設は長年の悲願であった。中央3社はもちろんのこと、地方電力も次々と原発を完成させるなか、ようやく泊1号機(57.9万キロワット)を運転開始したのが1989年であり、1991年には2号機(57.9万キロワット)を完成させた。私の勤めていた原子力発電のパイオニア日本原電には地方の電力会社から多くの出向者が来ていたが、最後までいたのが北海道電力と電源開発であった。中には出向解除後も建設計画が進まなかったためについに実際の建設には携われないまま定年退職した技術者もいた。その後、2009年には泊3号機(91.2万キロワット)を完成させ、3機合計207万キロワットの現体制になった。これは火力発電の370万キロワットに次ぐ大電源で、これにより古い石炭火力を廃止し、他電力並に天然ガス火力への移行を進める計画だったと思える。二酸化炭素排出量の抑制にも大きな期待がかかった。ところが、2011年の福島第一原発の事故で泊原発が停止となって、この目論見は崩れ従来通りの石炭火力、石油火力に大きく依存する形から抜け出せないでいる。

北海道電力は今年2月にようやく天然ガス火力の石狩湾新港発電所1号機が運転を開始する。2028年までに3基で170万キロワットにする計画だ。東京電力と中部電力の火力部門が合体してJERAとなり天然ガスの購入量が巨大になり、取引価格に今まで以上に影響力を行使出来るようになったが、北海道のようにまだ始まったばかりでは高い価格で天然ガスを買わざるを得ない。天然ガスは中国や韓国も火力発電用に今後大量に輸入する見通しで、価格面と安定確保が課題になる。同じように石油火力も燃料費の安定が問題である。

昨年の大地震には間に合わなかったが、供給安定のための本州との連系線は強化されつつあり、今年3月からは従来の60万キロに30万キロワットが追加され合計90万キロワットとなる。北海道でこれから再生可能エネルギーなどの余剰が発生した場合は、本州へ送ることが出来るが、逆に本州から安い電力が来るということも考えられる。

泊原発は新規制基準の審査中であるが、断層問題でまだ時間がかかりそうで改造工事費の負担が増加する恐れがある。動かない原発を維持するための費用が経営に負担となっており、今後石炭火力から離脱するのにも体力が持つかが心配な点である。大手10社で高い方から1、2番目の電気料金のため、営業攻勢をかける新電力に顧客を奪われている。古い火力発電所と原発しかないのであれば、需要が減るなか、いまでも高い電力料金はさらなる値上げは出来ず経営が行き詰まってしまう可能性がある。

昨年の大停電後に自家発電や蓄電池が増加している。これは供給の安定にはプラスだが、北海道電力の販売量にマイナスの影響をする。北海道電力の2018年3月期の販売電力量は、前期比7・5%減の248億600万キロワット時と、電力大手10社の中で最も減少幅が大きかった。2019年3月期も同6・0%減と予測されている。最大電力も2011年の568.4万キロワットから4年後の2015年には504.3万キロワットに減少している。

既に不安定な再生可能エネルギーが接続可能量に近づいており、新たな接続のメガソーラーは蓄電池併設を条件としている。北海道電力自体の再生可能エネルギー開発はいまだ3万キロワット程度と出遅れており、このうち2.5万キロワットが地熱発電である。これから再生可能エネルギーをさらに伸ばすにしても、バックアップのための水力発電は少なく、揚水式水力発電所は三ヶ所合計80万キロワットしかないことがネックである。北海道は地域が広大であり、太陽光発電にも風力発電にも適地が多く、分散型の再生可能エネルギーが有利な面もある。他電力のように石炭火力、石油火力から天然ガス火力に移行して、そこから再生可能エネルギーに移行するのではなく、需要減で石炭や石油の火力廃止が進むと、いっきに石炭、石油から再生可能エネルギーに移行することも考えられる。いずれにせよ、泊原発が再稼働しないと脱石炭火力は進まず、ますます北海道電力に対する環境派からの批判が強くなりそうだ。

次回は東北電力における脱石炭戦略を見ることとする。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter