日本エネルギー会議

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福島の復興について考える(33)

前回、福島県浜通り地域の現状と今後についての見通しを示したが、それを前提とした地域復興策についてのアイデアを紹介したい。

広大な地域に少ない人口と高齢化という前提で考えれば、まず通信技術を活かすことが考えられるが、それについては携帯電話、インターネット、放送設備(これは従来から存在している)によって比較的容易に達成出来る。また、実際にこれから高齢になる住民は、ある程度の関係リテラシーを持っていると考えられる。 最大の問題は買い物、通院、仕事、趣味、スポーツ活動などをするための足である。
福島第一原発の事故で避難する以前は子や孫との同居が多く、足は同居家族に依存していた。また、高齢でも運転できる状況であれば軽自動車を足としていた。だが、今は子供らと世帯が別れている人が多い。また、年齢が80を超えた運転は事故のリスクが高い。

そこで有効なのは町内の範囲で利用可能なマイカーに代わる乗り物の提供である。自動運転の小さな車か循環マイクロバスを携帯で呼んで使えるようにする。出来れば電気自動車がよい。これからはタクシー代の補助に代って自動運転車の運行がよいだろう。

福島第一原発では廃炉工事のために、昨年4月から構内に移動手段として自動運転の電気自動車(名称はナビア アルマ)3台を試験走行させ、作業員や見学者の構内での移動に使っている。今後、構内の移動用車両を順次これに置き換えていくという。定員は15名(座席数は11)、最高時速45キロ(構内では時速25キロで走行)、1回の充電で150キロメートル走行が可能だ。電気自動車本体はフランスのLAVYA社製、日本初の実用化例として自動運転はソフトバンクの子会社であるSBドライブ社が提供している。(下の写真はソフトバンクおよび東電のHPより)



全長4.75m 全幅2.11m 全高2.65m、車両総重量3,450kg

この自動運転の小型電気自動車を高齢者の町内移動に採用することをお勧めしたい。もう少し小型にして普通乗用車のように数名乗りでもかまわない。
高齢者がいつでも呼び出せ安い料金でこの車を町内で利用出来れば、現在抱えている問題のかなりの部分が解決出来る。医師、看護師、介護などの訪問サービスをする人もこの自動運転車を利用出来るようにすれば負担は軽減される。浜通りの他の自治体も採用すれば台数も増えて量産効果で価格も下がることが期待出来る。

他にもドローンの活用として、南相馬市小高区で郵便や小包の宅配サービスがテストされているが、これが実現しても、スーパーやコンビニの巡回販売車もあるとよい。高齢者にとって人との触れ合いは必要だからである。浜通りでは特区の制度を大いに活用してこのような挑戦をするべきである。

次に大切なのは高齢者に対する雇用を開発することだ。先に紹介した自動運転の電気自動車は念のため添乗員が乗車することにし、それを高齢者にやってもらうことで、ほどほどの収入と生きがいを与えることが出来る。そのような仕事は作り出せばたくさんある。
・ハイテクハウス農業団地内の屋内作業、ソーラーシェアリング下での農作業
・メガソーラー、風力発電所の保守業務(外観点検巡視、草刈や表面の清掃など)。
・役場の行う住民サービス業務の一部
・広域給食配達、新聞など配達
・空き家や空き地の定期的な点検確認
・野生動物の被害調査
・要介護世帯の見回り
・道路脇あるいは公園の植栽の手入れなど

こうした軽作業が候補だ。
いろいろな知恵を出して、帰還すればさまざまな便利なサービスが受けられるし、年金以外の収入とともに生きがいも生まれるということにしなくてはならない。

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