日本エネルギー会議

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石炭火力廃止と電力会社の対応(3)

東北電力の電源構成(2017年度実績)は下図の通りだ。

東北電力は電源構成から見ると最も全国平均に近く、石炭火力も多いが天然ガス火力も同じ程度ある。石油火力は少なく、再生可能エネルギーもほどほど。水力も平均的だが福島県にある東京電力や電源開発の水力が多く東北電力の保有する水力発電所は少ない。
火力発電所は小規模なものを除き、12ヶ所、1200万キロワットに関連会社の3火力発電所440万キロワットを加えて、15ヶ所、1640万キロワットに達している。この内訳は次のとおりだ。
石炭    760万キロワット
天然ガス  530万キロワット
石油    350万キロワット

関連会社の火力発電所はすべて石炭火力(酒田共同火力の70万キロワットを除くとすべて福島第一原発に近い福島県浜通りにあり、大きな津波被害を受けたが現在はすべて復旧)だ。東北電力全体の発電実績から見ると、石油火力や石炭火力より天然ガス火力を優先して運転しているようだ。

石炭火力のうち、運転開始後30年以上経過しているものは215万キロワットある。40年以上は95万キロワットある。石油火力はさらに古く、30年以上経過しているものが320万キロワット、40年以上は200万キロワットに及ぶ。30年以上経過している石炭火力とすべての石油火力が今後の廃止対象となると考えられる。天然ガス火力はどれも比較的新しい。

東北電力は女川と東通で原発4基327.4万キロワットを運転していたが、福島第一原発の事故で全基停止。運転開始から35年になる女川原発1号機52.4万キロワットは廃炉になった。残りの3基も現時点で再稼働出来ていない。2013年12月に原子力規制委員会に審査申請した女川原発2号機の安全対策工事の完了時期は2020年度となっているが、委員会による新規制基準適合性審査スケジュールはこれまでに5回も延期されている。原発3基が稼働していれば石油火力すべて、石炭火力なら30年以上経過しているものを廃止することが可能であったが原発再稼働の見通しは厳しい。やはり当面は、天然ガス火力、再生可能エネルギーを徐々に増やして石炭、石油火力をその分減らしていくしかないようだ。世界情勢を考えれば、古くなった石炭火力を最新型の二酸化炭素排出量が少ない石炭火力に取り替えていくことは選択するべきではないだろう。

東北地方は再生可能エネルギーのポテンシャルが高い。電力需要に占める太陽光発電の比率が東北電力管内で昨年5月20日に一時、需要の50%を超えた。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が始まって以降、この地域で東北電力以外の太陽光発電施設が急拡大しているのだ。2020年には出力抑制が発生しそうだ。東北電力そのものは再生可能エネルギー電源として8ヶ所、23万キロワットを所有しているに過ぎない。内訳は地熱4ヶ所、22万キロワット。太陽光3ヶ所、0.5万キロワットだ。今年に入って、東北電力は社内に「再生可能エネルギー事業推進室」をつくり、風力発電を中心に自ら200万キロワットの再生可能エネルギー電源の開発を目指すと発表した。ただし、風力や太陽光の再生可能エネルギーの場合は稼働率が低く不安定なため、石炭火力を代替というわけにはいかないが、稼働している間は化石燃料の消費は抑制出来る。また、東北は北海道、関東と連系線があるため余剰を他の地域への輸出することも可能である。従来、夏場は比較的涼しい東北から関東への支援供給によって東北電力は大きな利益を上げてきた。

しかし最近、横浜市が青森、岩手、福島3県の計12市町村と、再生可能エネルギーに関する連携協定を結び、12市町村の太陽光発電や風力発電で得られた電力を横浜市に供給する仕組みをつくる動きがあり、東北電力は首都圏への電力供給においてスルーされる可能性が出てきた。売上が6年連続で減少するなど東北電力は新電力、他電力からの攻撃も受けて顧客流出が続いており、電力料金も下げなくてはならない。現在、福島県の郡山市は市の施設が使う電力の見積もりを新電力から取って、東北電力に値下げを迫っている。東北電力が女川原発を再稼働して競争力を取り戻しながら、石炭火力を抑えていくのはだんだん難しくなっている。
次回は東京電力の石炭火力問題対応状況について。

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