日本エネルギー会議

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福島の復興について考える(34)

福島県は東北一の工業製品生産額を誇っているが同時に農業県でもある。2015年の統計によれば農家数は全国都道府県で5位の7万5千戸、ただし専業農家は12位、農家所得率は35%程度で専業農家は少ない。耕地面積は全国  7位、農業産出額は17位。主な生産物は米7位、果実(もも、なし、りんご)だ。

東日本大震災と福島第一原発の事故の影響で耕地利用率は全国91%、東北83%であるのに対して、福島県は2011年に85%から75%にダウンしたままだ。 
県によれば、福島県の農業の問題点は①放射能汚染と風評被害による生産者の減少、②産地ブランド力低下、崩壊、③津波被害による作付中止。しかし、農産物の輸出は2012年から毎年倍々ゲームで拡大し、主に東南アジア タイ、ベトナム、マレーシア向けが好調だ。 

今やGDPに占める第一次産業 (農林水産業)は福島県も他県と同じでわずかに1.4%だ。内訳は農業1.2% 水産 0.1%、林業0.1%。しかし、最近農業復活の兆しを感じさせることも起きている。確かに高齢化が進んでいるが、全国的に若い人の農業に対する関心が高まっている。実際、年齢別農家人口で、39歳以下が30%で下げ止まり、回復の傾向が見えるのだ。福島県の新規就農者も1990年に42人であったものが、2000年には98人、2011年には182人、2013年には224人と回復し、最近でも毎年200人台を維持しており期待がもてる。農業者を目指して若い人が地方に来る。福島県はその受け皿にならなければならない。

日本の農業はもうだめかと思っていたが、農業にこそ将来性があるのではないか。
もちろん、それは従来の農業ではなく、AI、ビッグデータ、遺伝子工学、ロボット、ドローンといった新技術を取り入れたハイテク農業でなくてはならない。
その未来の姿を先取りしている凄い事例がある。残念ながらそれはお隣の栃木県でのことだ。栃木県は「とちおとめ」、「スカイベリー」などの品種で有名なように日本一の苺王国。このほど宇都宮大学の工学部と農学部が民間企業とタイアップして苺の収穫ロボットと苺専用の特殊な容器を開発した。これにより収穫から流通過程に至るまで、苺の実の部分には一切人の手や容器が接触せずに完熟状態で出荷できる。

苺はハウス内で水耕栽培。ハウス内を巡回するのは自走式ロボットで①)農場の温度や照度などを計測管理し、苺の育成状態を観察する、②苺の熟度や大きさを選別し、実を傷つけずに収穫する、③収穫作業する人・ロボットを追従し、苺を運搬・集荷する。

研究グループは、ロボットとの協働や、ロボット同士の協調によって作業を省力化し、24時間稼働出来ることで生産性や品質向上を図ることを狙っており、既にここで作られた品質の良い苺は第三者機関である国際味覚審査機構の審査で三ツ星を取得している。

日本のハイテク農業の時代はすぐそこまで来ている。ハウス内なので天気も放射能による風評被害も心配いらない。福島県には、ITに特化した会津大学もある。福島高専のロボットも有名だ。郡山市には日大工学部もある。それらを農業に結びつける。県立高校は二次選抜で平均競争率1.0と、多くが定員割れを生じているが、そのいくつかを先進的農業高校にして全国から生徒を集める。福島県はハイテク農業のメッカになればよい。

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