日本エネルギー会議

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石炭火力廃止と電力会社の対応(4)

東京電力の電源構成(2017年度発電実績)は下図の通りだ。

東京電力は電源構成から見ると、原発が停止している関係で火力発電が81パーセントを占めているが、60パーセントが天然ガスで石炭火力は20パーセントにとどまり、石油火力に至っては1パーセントしかない。これは中部電力と同じ構成であり、同社とともに天然ガス火力の開発に早くから挑戦してきた成果が出ている。水力発電も設備的にはたくさんあるが全体の発電量が大きなため水力発電のシェアは3パーセントとなっている。
火力発電所は小規模なものを除き、25ヶ所、4498万キロワットに関連会社の4火力発電所585万キロワットを加えて、29ヶ所、5083万キロワットに達している。この内訳は次のとおりだ。
石炭     545万キロワット
天然ガス  3301万キロワット (都市ガス含む)
石油    1045万キロワット

関連会社の火力発電所は重油、副生ガス、石炭火力で天然ガス火力はない。
それらの半数は福島第一原発に近い福島県浜通りにあり、大きな津波被害を受けたが現在はすべて復旧している。東京電力全体の発電実績から見ると、石油火力はほとんど運転していない。石炭火力による発電は東京電力の火力発電の3分の1程度にとどまっている。

石炭火力のうち、運転開始後30年以上経過しているものは145万キロワットある。40年以上は25万キロワットに過ぎず、東京電力の石炭火力は古いものは既に廃止されている。石油火力はさらに古く、40年以上経過しているものが全体の約6割の665万キロワットに及ぶ。

天然ガス火力は運転開始後30年以上経過しているものは1409万キロワット、40年以上は1097万キロワットだ。最も古い天然ガス火力は1963年運転開始の大井火力発電所で、以来、東京電力は天然ガス火力の拡大とさらなる効率化に注力している。

水力発電は986万キロワットあるが、特徴としては揚水式9ヶ所、768万キロワット、(水力発電所全体の78パーセント)もあるため、大型の原発や火力の突然の停止に一定程度耐えられるようになっている。また最近増加が著しい再生可能エネルギーの不安定さ対策に役立ちそうだ。

東京電力の場合、半世紀も前から天然ガス火力を導入するなど先見性があり業界をリードするかたちで石油、石炭火力から天然ガスへの移行が進んでいるため、今後の石炭火力縮小は比較的容易である。また、天然ガスの効率化やより安定的で安価な燃料確保にも手が打てている。

千葉県沖合の風力発電に代表される再生可能エネルギー開発や次世代の電力供給システムなどにも果敢に取り組んでおり、この面でも他の電力会社を何歩もリードしている。東京電力と中部電力が共同出資する火力発電を中心としたJERAはコスト低減が進む洋上風力発電事業にも参入することを決め、台湾と英国で同事業に出資するほか、国内でも事業化を目指すなど、主力の火力発電が将来的に縮小することに備える動きも見せている。
しかし、巨大な消費地を抱えている東京電力が石油火力や石炭火力を完全に廃止していくには、再生可能エネルギーの拡大だけでは不十分であり、さまざまな需要の平坦化策と柏崎刈羽原発の再稼働が必要となると思われる。
次回は中部電力の石炭火力問題対応状況について。      (つづく)

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