日本エネルギー会議

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電力危機は円安でも起きる

原発の再稼働が進まなければ、石炭火力の廃止などによって数年以内に電力の予備率が8パーセント切れの可能性があると指摘されている。猛暑や自然災害による発電停止、あるいは設備の事故で需要と供給のバランスが崩れるが、その時予備率が不足していると対応できずに大停電が起きてしまう。また、紛争など海外からの化石燃料の輸送ルートが確保されなくなれば、現在8割以上を火力発電に頼っているため、需要に見合う電力が供給出来なくなり、慢性的に停電ということになる。

だが、電力危機はそれだけではない。現在の日本は天然ガス、石炭、石油などその燃料のほとんど全部を海外から輸入している。もし、為替が急激に円安になったらどうだろう。1ドルが100円であったものが、1ドル150円になれば、燃料費は1.5倍になる。

エネルギー基本計画での国の試算では、発電コストとコストに占める燃料費の割合は、下表のとおりだ。

燃料費が1.5倍になった場合、一番安い原発は全国でまだ9基しか再稼働しておらず、これでは産業も家庭も電力料金の負担に耐えられなくなる。輸出産業は競争力を失い、国際貿易収支は海外からの燃料の輸入で大赤字に。食糧も原材料も輸入が出来なくなる。家庭も光熱費が急騰し、最低限必要な電気も買えないことになる。これこそ電力供給の危機である。これは為替リスクだけであり、燃料そのものの価格の変動は考慮していない。

円安が遠くない将来、1ドル150円になる可能性はあるのか。下図ドル円相場の長期推移を見ると、かつて1ドル360円の固定相場であったものが変動相場になり、日本の経済発展とともに円高に推移していることがわかる。現在は111円前後だ。では、今後の日本経済はどうであろうか。先日、世界三大投資家で親日家のジム・ロジャーズ氏は「安倍政権の経済政策は日本の将来を滅茶苦茶にするものだ」と警鐘。「自分は円、日本企業への投資を全部売り払った。理由はこれからの日本経済は期待が持てないからだ」と語っている。こう話すことで、円売りが加速すれば彼の思惑通りになることを計算しているのかもしれないが…。

しかし、増大する世界一の巨額財政赤字、急激な人口減少と少子高齢化、技術レベルの低下、国際貿易収支の黒字幅縮小などを見ると、ロジャーズ氏の言うことは妥当性があるように思える。それは円安に動くことを意味する。円安になれば輸出産業や観光産業には有利だが、資源や食糧の価格は高騰する。
不測の事態で電力供給に危機が訪れる以外に急激な円安でも電力危機が起きることを知らねばならない。ホルムズ湾やマラッカ海峡の封鎖より円の急落の方が可能性は高いのではないか。対策としてはなるべく早く化石燃料から離れることであり、これは奇しくも温暖化対策と合致する。

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