日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(36)

日本では人口、貿易、財政など主要な指標が下落している中、インバウンドだけは上昇を続けている。地域を復興させ活性化するためにインバウンドに期待する地方が多い。栄えていた製造業などが没落し、日本がギリシャやイタリアのような観光業に依存したような国になるのだろうか。東日本大震災と福島第一原発の事故に遭った福島県も内外の観光客を呼び込もうと努力し、最近ではその成果もかなり現れているが、放射能の風評被害もあり、依然として外国人観光客の数は震災前の水準に戻っていない。

東北運輸局によれば、東北地方の外国人宿泊客は2017年96万7千人が2018年には121万4千人と26パーセント増加。福島県も同じように伸びて、2017年9万6千人が2018年12万人となっている。東北は伸び率は良いが、人数的には四国に次ぐ少なさで、インバウンドに関してはまだまだ。国別の訪日客ではタイ、香港、台湾が上位。福島空港は海外との定期便がなくなってから久しいが、最近は台湾からのチャーター便がよく来るようになっている。季節的には秋、春、冬の順で夏が振るわない。観光庁の訪日外国人消費動向調査によれば、外国人が訪日前に期待していたことは、
1 日本食を食べること
2 ショッピング
3 自然、景勝地を観光すること
4 繁華街の街歩き
5 温泉入浴
6 旅館宿泊
7 日本酒を飲むこと
の順。4以外の項目は福島県が得意とするところだ。県内の宿泊施設は会津若松市、福島市、郡山市、二本松市などの温泉旅館が中心で、当然ながら日本食が提供される。日本酒は品評会で常勝、2のショッピングでも日本らしい土産物はたくさん買うことが出来る。

だが、なんといっても福島県は自然の美しさが売り物だろう。奥会津の山々を通って新潟に至るJR只見線は既に「世界で最もロマンチックな鉄道」として東南アジアで有名。福島市花見山や三春の滝桜など桜の名所も人気が高まっている。磐梯山と猪苗代湖、五色沼などの裏磐梯、あたたら山は景色がどの季節も素晴らしい。山岳道路の吾妻スカイラインには夕日の裏磐梯を撮影しようと大勢のアマチュアカメラマンが三脚をずらりと立てる場所がある。あたたら山のロープウェイで乗り合わせた神戸からの観光客は、福島の自然は関西などと違って雄大であるが、北海道や外国のような広すぎないので好きだと言っていた。これこそが福島の自然の特徴ではないだろうか。広すぎず、高すぎず、厳しすぎず、そうかと言って単調でなく、人と一体化しやすいジャストサイズの自然こそがこれから外国人をも惹きつけるはずだ。

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