日本エネルギー会議

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石炭火力廃止と電力会社の対応(6)

世界的に石炭火力に逆風が吹いている。我が国では震災後に続々と石炭火力を建設したが、逆風がもっと強まった場合、大丈夫なのだろうか。各大手電力会社が石炭火力から離脱するとした場合、その困難さはどの程度か。個別に状況を確認しているが、今回は北陸電力である。

北陸電力の電源構成(2017年度発電実績)は下図の通りだ。

北陸電力は電源構成から見ると、志賀原発が停止している関係で火力発電が66パーセント、内訳も石炭火力が58パーセント、天然ガス火力は1パーセントと圧倒的な石炭火力王国だ。(2018年に42万キロワットの天然ガス火力が初めて富山新港に完成した) また、水力発電が28パーセントというのも電力各社のなかでは群を抜いている。北陸電力は日本の電力会社としては一番特異な電源構成をしている。
北陸電力の火力発電所は6ヶ所、482万キロワットで、その内訳は次のとおりだ。
石炭   290万キロワット
天然ガス 42万キロワット 
石油   150万キロワット

北陸電力全体の発電実績から見ると、設備として三分の一を占める石油火力はほとんど運転していない。石炭火力への依存度は大きく、今後の石炭火力からの撤退には志賀原発の再稼働が必至である。6基の石炭火力は比較的新しく、運転開始後40年以上経過しているものは25万キロワット2基で、他の4基240万キロワットは1995年以降の運転開始である。そのため廃止あるいは休止することは経営上、大変に辛いはずだ。
豪雪地帯なので全体の32パーセントを水力中心の再生可能エネルギーで発電しており、しかも3万キロワット以下の小水力発電所が多数あって、今後も開発余地があると思われる。また、全てが水路式であり揚水式水力発電所がないことも特徴だ。
北陸電力の場合、地域の需要が小さかったために水力発電、石炭火力発電といった旧来型の発電設備が中心であったところに、いきなり志賀原発1号機54万キロワット、2号機120.6万キロワットを建設したため、天然ガス火力などを建設する余地がなくなってしまった。それが火力発電の燃料転換が遅れた理由だ。また、中部電力や関西電力との契約による送電を行っており、地域の電力会社に加えて卸売電力会社の性格も備えていた。これは東京電力に対する東北電力と同じである。福井県敦賀市にある石炭火力発電所からはそのために建設した送電線を使って名古屋方面に送電をしている。
石炭火力と水力発電による発電コストは低く抑えられており、最近は関東のセブンイレブン全店に対する電力供給契約を東京電力から奪うなどの動きも見せている。だが、石炭火力に対する逆風が強まればその強みも失われてしまう恐れがある。太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーの開発は地域的に恵まれないこともあり、ほとんど進んでいない。志賀原発の再稼働の行方次第では、石炭火力に対する逆風が強まることで非常に苦しい事態に追い込まれる可能性もある。
次回は関西電力の石炭火力問題対応状況について。      (つづく)

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