日本エネルギー会議

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まともな議論をしない国

国会で来年度予算が成立したが、テレビの国会中継を見てあいかわらずの政府と野党のやりとりには飽き飽きした。以前のエッセイで安倍首相が「重く受け止める」「丁寧に説明する」などの日本語を殺してしまったことを指摘したが、経済状況についての首相の国会答弁は酷かった。

実質賃金がどんどん下がっていることを野党議員に突かれて、首相は「有効求人倍率、卒業予定の学生の就職内定率が過去最高」「経団連加入企業のベースアップが連続上昇」などと聞き飽きたいつもの答弁を繰り返して議論にしなかった。
もし、こうした議論のやり方が企業の経営会議で行われたらどうなのかと考える。まず、議案の提出者は名目賃金や物価上昇率などのデータが正しいものかを説明させられ、さらに他の指標も要求される。有効求人倍率の過去からの傾向やこのところ高くなっている原因についても説明を求められる。また、そのことが経営にどんな影響を持つかも議論されるはずだ。しかし、その前にワンマン社長が「そんな議論はしなくてもよい。次の議題へ」と制するのが常態化しているなら、その企業は遠くない将来、経営破綻につながる大きな問題を起こすだろう。

質問した野党議員は「首相はまともに答えていない」と一度は文句を言っても、すぐに次の質問に行ってしまう。首相はニヤニヤ笑っているだけで、テレビを見ている国民は、首相はずるいな、あんな答弁のしかたもあるのだと思うだけ。翌日新聞は「野党は追求したが決め手に欠いた」と書く。最高の地位にある者として、してやったりというその態度だけで失格である。「人柄が信頼出来ない」が不支持の一番の理由になっていることに恥じることもないようだ。
野党議員は次の質問などに行かず、まともに議論しようとしない首相の姿勢を糺すべく徹底して食い下がるべきである。議長の采配がおかしければクレームをつける。日本語の問題もそうだが、国の最高決定機関でこんな質疑が行われていることが異常事態だ。 

これは原子力に関して推進、反対の議論でもいくたびか繰り返された間違いでもある。また、東京電力の経営幹部が会議で産総研の貞観津波警告に対してどうするかを議論したときにはどんな具合だったのかも気になる。同じ土俵に載る、データをもとに議論し、データの検証に力を注ぐ。結論ありきではなく、より客観的で幅広い議論が出来るように時間をかけて双方で努力する。こうしたことがなければ、よりよい決定は出来ないはずである。

平成が終わるに当たって、何故日本が沈下したままなのかがメディアで取り上げられているが、私は国でも自治体でも企業でも学校でもこうしたまともな議論をしない、出来ない状況が大きな原因ではないかと考えている。

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