日本エネルギー会議

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石炭火力廃止と電力会社の対応(10)

世界的に石炭火力に逆風が吹いている。4月12日付けの朝日新聞は一面トップで日本の大手金融グループが独自の環境対策として石炭火力に対する融資を将来半減すると報じた。我が国では震災後に続々と石炭火力を建設したが、逆風がもっと強まった場合、大丈夫なのだろうか。各大手電力会社が石炭火力から離脱するとした場合、その困難さはどの程度か。個別に状況を確認しているが、今回は九州電力である。

九州電力の電源構成(2017年度発電実績)は下図の通りだ。

グラフは九州電力株式会社HPより引用

九州電力は電源構成から見ると、火力発電が四国電力とほぼ同じの63パーセントだ。しかし内訳は石炭火力が29パーセントと四国電力の半分に過ぎない。その分、天然ガス火力が31パーセントと大きく、石炭火力と天然ガスが拮抗している。また、原発が5機あり、そのうち玄海原発1号機は廃炉となっているが、玄海2、3、4号機292万キロワットと川内1、2号機178万キロワットが稼働しており合わせて供給の16パーセントを支えている。これは大手電力会社で一番大きい。再生可能エネルギーは太陽光発電が主で、水力発電の4パーセントも加えると自社分、他社分あわせて全発電量の20パーセントになっている。
九州電力の火力発電所は関連会社分も含め、10ヶ所、1038万キロワットで、その内訳は次のとおりだ。
石炭     262万キロワット (25パーセント)
天然ガス   488万キロワット (47パーセント)
石油     288万キロワット (28パーセント)

九州電力全体の発電実績から見ると、設備として28パーセントを占める石油火力の運転はかなり低く抑えられている。いずれも1970~1980年代に運転開始した古いもので、コスト高のため停止させており、順次廃止させるものと思われる。今後もし、石炭火力の運転に批判が投げかけられた場合、現在発電量の29パーセントを石炭火力が担っており、天然ガス火力あるいは再生可能エネルギーを増やしてカバーすることになろう。原発は470万キロワットもあり、温暖化対策上はこれに再生可能エネルギー開発を合わせることで対応可能である。

九州電力には5万キロワット以上の水力発電設備は12ヶ所、297万キロワットある。このうち揚水式水力発電所は120万キロワットの小丸川発電所と60万キロワットの天山発電所である。これにより需要が少なくなる時間帯に原発の出力を吸収することが可能である。ただし、最近は再生可能エネルギー、特に太陽光発電が増加したため、これらの揚水式水力発電所が昼間の余剰を吸い上げる役割を果たしている。

水力発電以外の再生可能エネルギーは九州電力以外も含めると、発電量では20パーセントと比較的大きな割合となっている。これからは人口減、労働人口減による地方の衰退が迫っており九州地方の電力需要も減少すると思われる。大型原発の事故や定期検査などによる停止に備えながら、どのようにして需給バランスをとりながら石炭火力を減らしていけるか、時間帯によっては大きな割合を占めるようになった太陽光発電による電力を、揚水式水力を使ってどのように捌いていくのか、本州との連系線の増強も視野に入れて難しい方程式を解いていく必要がある。

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