日本エネルギー会議

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石炭火力廃止と電力会社の対応(11)

世界的に石炭火力に逆風が吹いている。パリ協定の実施に向けて我が国では石炭火力発電所の出す二酸化炭素をいかに抑えるかが最大の課題となっている。国内でも先日、大手金融機関が今後石炭火力建設に関する新たな融資は行わないと発表した。いよいよ石炭火力の存続の危機が迫っている。電力会社が石炭火力から離脱するとした場合、その困難さはどの程度か。個別に状況を北から確認しているが、今回は沖縄電力である。

沖縄電力の電源構成(2017年度発電実績)は下図の通りだ。

グラフは沖縄電力株式会社HPより引用

沖縄電力は電源構成(発電実績)から見ると、火力発電の占める割合が95パーセント。そのうえ石炭火力がかなり多い。それ以外に他電力のような水力発電、天然ガス火力、原発はない。火力以外は風力による再生可能エネルギーが5パーセントあるのみである。原発については、沖縄電力は技術系社員を原子力発電専業である日本原電に出向させて導入に向けた検討をしていたが、計画をつくるまでには至らなかった。

沖縄は離島が多く、そこでは電力供給のために重油を使った小出力の内燃機関を使用している。また、米軍基地も需要の1割弱を占めている。沖縄電力の火力発電所は、汽力発電所5ヶ所162.9万キロワット、ガスタービン発電所5ヶ所32.3万キロワット、内燃力発電所13ヶ所17.4万キロワットで、合計212.6万キロワットである。 その内訳は次のとおりだ。
石炭     75.2万キロワット (35パーセント)
天然ガス   53.4万キロワット (25パーセント)
石油     84.0万キロワット (40パーセント)

沖縄電力全体の発電実績から見ると、設備として40パーセントを占める石油火力の運転は、離島以外ほとんど行われていない。石油の価格が高く、国際価格の変動幅も大きいためであろう。今後、石炭火力の運転に批判が投げかけられた場合、現在発電量の65パーセントを石炭火力が担っており、天然ガス火力あるいは再生可能エネルギーを増やしてカバーせざるを得ないが極めて困難だろう。

沖縄電力にはかつて電源開発が大型揚水式水力発電所を運営していたが、現在は休止している。また、卸電気事業者である電源開発は沖縄で石炭火力発電所31.2万キロワットを運転している。再生可能エネルギーは発電量でも5パーセントと小さく、本土と比べると開発は遅れている。沖縄では1990年代に風力発電所が数多く建てられたものの、休止してしまったケースが数多くある。理由は沖縄特有の強い風で風車が倒壊してしまうことであり、倒壊した時の瞬間最大風速は90メートル/秒に達していた。その後建設された風力発電所は台風時に塔を倒すことが出来るようにしている。沖縄電力の風力発電は5ヶ所2300キロワットである。

現在ベンチャー企業が強風にも強い風力発電装置を沖縄に持ち込んで試験をしている最中である。この風車は微風でも回転するようなので、大いに期待したい。

太陽光発電にしても、大きなものは4000キロワットの宮古島メガソーラー実証研究設備があるだけだ。そこには4000キロワットのNAS電池も備えられている。特に離島では規模が小さく電力系統が独立しており、再生可能エネルギーによる影響がより顕著となるため、蓄電池による系統安定化対策も含め、さまざまな実証実験が必要となっている。また、風力発電と同様、台風によりソーラーパネルが吹き飛ぶ恐れがあり、その対策も必要だ。
本州との連系線もないため、沖縄として独立した形で、自然災害など非常時に備えなくてはならず、石炭火力を止めたくても当面依存せざるを得ない状況だ。沖縄の場合、石炭火力の存続が特例として認められる可能性さえあるのではないか。

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