日本エネルギー会議

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海底ケーブルによる連係は贅沢か(2)

電力自由化を進める際には大停電を起こさないように細心の注意が必要だ。特に首都圏など大都市圏で停電を起こせば大惨事となる可能性は大きい。電力会社が競争によって経営が苦しくなってくると、出力の小さい原発をやむを得ず廃炉にする。大型原発の再稼働もなかなか進まない。すると主力の火力発電所が自然災害などで運転出来なくなった場合、依存出来る電源が少なくなり大停電のリスクは高まる。

自由化によって廃炉を経営判断するのはしかたがないとするならば、原発に代わる電力供給手段を準備するべきであるが、その一つが大消費地に対する海底ケーブル連係線だ。新たな地上の送電線敷設(海底ケーブルの倍の費用がかかり、土地収用の問題もある)や原発の新設よりずっと現実性がある。自由化で民間の電気事業者にそんな余裕などないとなれば、国が税金か電気料金で賄う決断をするべきである。海底ケーブルによる全国連係は贅沢とは言えない。  

こういうことは普通の経営感覚では出来ない。エネルギーの安全保障を優先する特別慎重な感覚が必要なのだ。荒木元会長の「普通の会社になろう」「兜町を見て仕事をしよう」の号令以降、東京電力は普通の経営感覚の会社になりすぎた。2名が亡くなったJCOの被曝事故も同じである。利益を出すことを、社長を先頭に夢中になってやる。安全は軽視され、形だけのものになり、法律抵触もやる。少なくとも原子力をやる会社の経営陣には、前回に述べた原産会議の森氏のような特別な感覚が必要だ。

もともと東京電力だけでなく全ての電力会社が原子力にはかけ過ぎるほど金をかけてやってきた。原発は一生使わない機器をたくさん配備している。ところが、当時の東京電力は柏崎刈羽原発が地震で停止するなどし、利益が出なくなったため、原子力担当の副社長が「原子力も聖域ではなくなった。予算もキャップがかかるようになった」と部下に言ってしまった。結果的に、東京電力は福島の全号機を失うことになってしまい、日本の原子力開発は一気に後退した。

もちろん、国民のために発電コストを出来るだけ下げる努力を続けなくてはならないが、大事故を起せばその結果は原発の存在を問われることになってしまうことを、関係者は一時も忘れてはならないのだ。海底ケーブルの費用を高いと思うか、安いと思うか。全国各地方の大停電リスクを減らし、陸上の送電網の負担を減らしつつ余剰電力が出ないようにし、なおかつ原発の緊急用電源の確保にも役立つものを、今すぐに世界に誇る国産技術で建設すべきではないか。

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