日本エネルギー会議

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それぞれの電源の役割

平成最後の年にメガソーラーによる電気のFIT買取価格が1キロワットあたり14円になった。住宅用は24円である。将来はさらに下がる可能性があるが、当面FIT対象となるソーラー発電の拡大は緩やかになるだろう。ただ、この価格になると売電でなく自家消費のための設置も増える。工場などでの自家消費用のソーラー設置はまだ17パーセント台で、これから伸びる余地が十分にある。今後、ソーラー発電の役割は供給より省エネの方に重点が移りそうだ。自家発電による自家消費が多くなり、さらに需要端での蓄電池設置が進めば、電力需要のピークが下がりベースロードである火力、原子力を過剰に持つ必要はなくなる。

風力発電はまだ開発が進んでいないが、今般法整備も進んだため、これからは大型開発計画が次々と軌道に乗りそうだ。風力発電所の稼働率はソーラーの10パーセントに比べて30パーセント台と高く、夜間も発電する。既に東京電力、東北電力などは100万キロワット級の大型プロジェクトに乗り出そうとしている。日本での風力発電導入量は2018年末で4ギガワット弱にとどまっている。しかし、既に環境影響評価の行われている案件は約26ギガワットあり、これらが順次、稼働することにより、2020年代初めには、国の2030年見通しである10ギガワットを前倒しで達成しそうだ。また日本でも欧州で導入の進む「着床式」の風力発電のポテンシャルが91ギガワットもある。これは戸建住宅と集合住宅のソーラー発電導入ポテンシャルと同じ量だ。

原発は重要電源とされているが、その利点である高い稼働率は実現していない。多くの原発が停止しており、再稼働した原発もテロ対策施設の工事が期限までに完了しなければ規制委員会は停止させるとしている。設備的には安定して運転できても社会的には極めて不安定要素が多いのが問題である。また、ソーラー発電や風力発電との発電コスト競争は年々厳しくなっていくものと考えられる。いまだ処分場を持たない高レベル放射性廃棄物を環境問題と捉える向きもある。

現在、供給量の80パーセントと圧倒的に依存度が多い火力発電は国際情勢の不安定さから燃料の価格や供給にリスクを抱えている。また欧米では二酸化炭素排出削減のため石炭火力を廃止する決定をした国もあるなど、将来の火力発電の抑制、廃止が見え隠れしている。

このように見てくると、これからの日本の電力事情は見通しが立ちにくいが、需要側においてさらなる省エネ、自家消費ソーラーと蓄電池の普及、連係線の増強によってピークカットが進むと見る。地方においてはソーラー、小型風力、小水力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーによって地域ごとの小さい需要を満たすとともに、地方にある電力会社の大型の原発、天然ガス火力、メガソーラー、大型風力からの電力に大消費地の需要を満たす役割を持たせることが一つの方向性として考えられる。 

四国では、大型連休期間の5月5日12~13時にソーラー発電の最大出力が187万キロワットで、電力需要213万キロワットに対して、その割合が88パーセントに達した。四国電力は、火力発電の抑制(50万キロワット)、揚水式水力の揚水(59万キロワット)、連係線による関西への送電(131万キロワット)により需給バランスを取り、ソーラー発電の出力抑制をしなかった。四国電力管内の需要が今後減少していけば、連休中以外にもこのような状況が増えると考えられる。

北海道、東北の風力による電力を連係線で首都圏に送る。四国、九州のメガソーラーによる電力を京阪神に送る。中部地方の水力やメガソーラーによる電力を中京に送る。その分、東京湾岸、大阪湾岸、伊勢湾岸の火力の発電量を減少させて燃料費を抑制していくことになる。各湾岸の火力発電所は二酸化炭素排出抑制がある程度可能となる。もともと各湾岸の火力発電所は地震や津波など自然災害による全面停止のリスクを抱えているので、依存度はなるべく低くしておきたい。既に大手電力会社の中でも、中央3社以外の6社は中央3社に対する卸電力の性格を強めつつある。それは地方の経済規模が縮小し、東京などへ需要の一段の集中が進んでいることによる必然な流れでもある。
(参考)


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