日本エネルギー会議

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再びマクファーレン女史

NRC (米原子力規制委員会)で2012年から14年まで委員長を務めたアリソン・マクファーレン女史は、福島第一原発の事故原因について「設計と立地の誤りを長年放置したため」と指摘したことで記憶に残っている。地質学者である彼女は先ごろ、洪水が電源供給を長時間阻害した場合、炉心が加熱して容器を溶かして致命的なレベルの放射能を放出する可能性があると指摘した。

- 米国の54の原子力発電所は直面する洪水リスクに対処できるよう設計されていない。
- 53の原子力発電所では激しい降水量による現在のリスクに耐えられない。
- 25の原子力発電所は河川からの現在の洪水予測を考慮していない。
- 19の原子力発電所は最大の高潮を考慮していない。

世界的な異常気象の拡大に伴い、大規模な洪水、大雨、高潮のリスクが大きくなっている。日本の原発では河川からの冷却水の取水は行われず、すべて海水冷却だが高潮に対しては津波とともに警戒を怠るわけにはいかない。また、急峻で狭い敷地のため原発は谷底のような場所に設置さていることが多く、異常な大雨による周囲の法面の崩壊の危険がある。事故時に重要となる外部電源のための送電線の鉄塔もこの急峻な地形に立っている。

いざという時に、応援部隊が外部から駆けつけるにも、狭い隧道やトンネルを経由しなくてはならないサイトもある。どんな気象条件の時も通れるとの保証はない。先日も関西電力の緊急時訓練の報道映像で、棚田のような原子炉建屋の背後の狭い通路で非常用ディーゼル電源車を運び込み起動しているのを見たが、よくぞあのような場所でやっていると思った。大雨で地盤が緩んでいるところへ、大地震がくることも想定内である必要がある。

現在の規制基準なり、それに基づいてつくられた設備は、新たに発生した災害や災害予測の規模に合わせて適宜修正される必要がある。既に十分に余裕を持って作られているとして思考停止をしてはならないはずである。改修には長い期間と巨額な費用、それに煩雑な事前審査、抵抗感のある地元に対する説明が伴う。これを考えただけでもなんとかやらないで済まないかと思うのが人間である。私には福島第一原発の事故以前の葛藤がデジャビューとなってしかたがない。

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