日本エネルギー会議

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卒FITの電気

FITとはFeed-in Tariffの略称で、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度のことだ。再生可能エネルギーを電力会社が高値で買取り、その差額を消費者が賦課金というかたちで電気料金の一部として負担する。住宅用太陽光発電の場合、買取り期間が10年であるため、最も早く設置されたものはまもなく買取り期間が終了するが、そのことを卒FITと名づけ、買取りが終わった電気をどのように活用するかが業界で話題となっている。住宅用太陽光発電設備が何年間稼働するかは明確ではないが、メーカーなどによれば途中で一部の部品を交換すれば、20~25年程度は発電能力がそれほど落ないようで、実際30年保証のパネルさえある。

卒FIT案件は、2019年だけでも53万件。2023年には累計165万件、発電設備容量では合計670万キロワットにも達する。夜間は発電せず、日中も天気しだいの稼働となるため稼働率は火力発電所の約5分の1だが、冷房需要が高まる時間帯に多くの発電が期待出来る特徴もある。卒FITの電気は増えても賦課金対象にはならない。

ここにきて、大手電力、新電力などによる卒FIT電気の買取り価格発表が相次いでいる。9電力会社は各地方で、昭和シェル電気は全国で、その他の新電力もそれぞれの地域で買取る。買取り価格は5円~12円/kwhと幅があるが、いまのところ買取り条件もさまざまだ。仮に5円であれば、価格として対抗出来るのは償却の終わった水力発電くらいだろう。
電力会社などがこぞって卒FITの住宅用太陽光発電による電気を買い取る理由はいくつか考えられる。

1 価格が安く、これまでの顧客に販売することで利益が出る。
2 新電力などに買われ顧客を持っていかれるのを防止したい。
3 夏場など需要ピーク時に火力発電の燃料費が抑制出来る。
4 原発の再稼働が進まず、石炭火力も作れないので電源を確保しておきたい。
5 ピーク時に他の電力会社から系統線による電力の融通を受けるよりも安い。
6 太陽光発電をしている住宅が、買取り期間終了後に蓄電池などを設置して、電力会社から離れるのを防止したい。

卒FITの電気が増えてくると、不安定ではあるが市場で最安値の電気になる。これをどのように自社の経営に活かしていくか、各電力会社の知恵比べが始まっている。

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