日本エネルギー会議

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先鋭化する温暖化懸念(1)

パリ協定は世界の平均気温上昇を産業革命以前からに比べて2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。だが、現在の各国の取り組みでは達成は不可能で影響は深刻化するというのが大方の見方だ。この状況に危機感を持ったスウェーデンの15歳の少女が昨年8月、学校の授業を週1回ボイコットして議会前で座り込みを始めた。その行動は世界中の若者に急速に支持され、今年1月にヨーロッパ各地で若者たちが授業をボイコットし数万人規模のデモが行われたが日本ではあまり報じられていない。

少女は昨年末の国連気候変動枠組み条約締約国会議で「あなたたちは子どもを愛していると言いながら子どもたちの未来を奪っている」と各国の代表を鋭く批判した。京都議定書から23年もの月日が経っている。私も含め世界中の大人たちは少女に返す言葉がない。

そうこうするうちに、ごく最近ショッキングなレポートがオーストラリアの団体(ブレークスルー気候復旧ナショナルセンター)から出された。即座に抜本的な対策を取らなければ、2050年までに気候変動の影響により人類文明は存在が脅かされるほどの危機に直面することになるという内容だ。その頃には世界の人口の約半分が生存不可能なほどの熱波に襲われるという。もちろん水や食糧は大ピンチとなる。

2050年といえば、我が国のエネルギー基本計画の目標年度だ。自分があと30年生きるとは思わないが、スウェーデンの少女はまだ45歳。私たちの子や孫は人生道半ばで、生存できる場所を探して地球上をあちこち彷徨うという悲惨なことになる。今の難民問題どころではなく、各所で国土、水、食糧を巡って紛争が起きるだろう。レポートは人類文明の終焉も匂わせている。レポートは現時点で発表されている気候変動モデルのほとんどは保守的、中道的であるがために対策が手ぬるいものになっているとも指摘している。

私は楽観論者でも悲観論者でもないが、つくづく子や孫の時代は大変なことになると、いてもたってもいられない気持ちになる。政府は2050年に二酸化炭素排出を実質ゼロにするとぶち上げたようだが、すでに遅いのではないか。地球の大気や海水の状態は大型船舶のように惰性がつくとブレーキはなかなか効かず、方向転換もゆっくりとしか出来ない。恐ろしいのは凍土が溶けることによるメタンガスの放出、南極氷河の喪失、海洋や陸地による二酸化炭素吸収能力の低下だ。とてつもなく大きな対象物は即効性のある対策が打てない。その頃は海面上昇による高潮と日常化した熱波の被害の対応に追われていることだろう。

太平洋戦争中、日本はあらゆることを犠牲にして連合軍と戦ったが、今度は温暖化を食い止めるために、大きな痛みをともなう大胆過ぎる政策を国民に示して賛同を得るべきではないか。原子力の復活もその中でしか実現しないだろう。次回以降は、より具体的な戦略と対抗策について。
(つづく)

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