日本エネルギー会議

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先鋭化する温暖化懸念(3)

温暖化が他のどのような課題より重要であることを人々が認識するには、温暖化がこれからどのような脅威になるかを説くより、現実にどのような重大な被害をもたらしているか、何人の人を殺しているかを示した方がよい。そこを出発点として今後何人が犠牲になるか、それを防ぐにはどうするかを人々に考えてもらうのである。

この方法はユニセフのテレビCMで採用されている。途上国の幼児が飢餓状態でハエにたかられている動画はインパクトがあり、人々を募金活動に向けさせる力を持っている。温暖化についてもこれに倣って政府や団体が動画を作成し、SNSで拡散させる。学校教育用に使用する。テレビCMとして流すなどの方法がなされるべきだ。

温暖化の影響による被害は異常気象によりもたらされることが多い。人類を含め、生物はこの地球の環境にのみ適応できる。極地や熱帯など緯度や経度による差はあるにせよ、大気や海などの環境は全ての生物に対して共通だ。異常気象が形となって被害を与える例は熱波、山火事、干ばつ、洪水、強風、高潮、崖崩れ、砂嵐、雷、大雪、凍結、低温、紫外線などだが、これらについて人々に被害の実態を明らかにする必要がある。

もっとも身近な被害は熱波により熱中症などになってしまうことである。人間の体温は通常37~38℃ほどに保たれており、気温が上がった場合、体は汗をかいて体温を下げようとする。体温が40℃に近づくと、重要な細胞組織が壊れ始める。40℃を超えると体温は徐々に気温に近づき、即座に治療を要する非常に危険な状態になる。

暑さの影響を最も受けやすいのは子どもや高齢者で、2003年のヨーロッパ熱波によるフランスでの死者1万5000人のうち、大半は75歳以上の高齢者だったという。この年、ヨーロッパでは7万人の熱波による死者が出た。今年のフランスも暑そうだ。昨日、「欧州で猛暑、フランスは命の危険」という外電が入ってきている。北アフリカから熱波が押し寄せ、ドイツ、ポーランド、チェコで26日に最高気温が38度を超えるなど、6月の観測史上最高を記録。この猛暑は今後数日間続き、さらに気温が上昇する可能性があるという。フランスやスイスなど複数の国では27日にも40度を超えるとみられている。日本のメディアが、このニュースをあまり取り上げていないのは不思議だ。
日本でも今年の5月に39.5度を北海道で記録した。列島を襲った記録破りの猛暑で5月26日には熱中症とみられる症状により北海道と宮城県で計2人が死亡、全国で575人が救急搬送された。アメリカのメディアは「殺人的熱波」と表現しているが、その言葉どおりだ。

日本では「福島第一原発の事故では死者がゼロだった」と発言した国会議員が謝罪に追い込まれる事態が起きたが、熱波による死者についてはメディアの扱いが小さ過ぎる。熱波による死者が毎年のように出ても、日本では一向に対策を思いきって強化するという話にはならない。熱波が誰のせいでもない自然現象のような扱い方をされ、「外出を避ける」、「こまめに水分を摂る」、「冷房を躊躇なく使う」などといった被害防止策ばかりが強調されるのはおかしくないか。(つづく)

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