日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

福島の復興を考える(41)

福島の復興計画の柱のひとつ「福島イノベーション・コースト構想」の中に、浜通りに未来のエネルギーとして期待されている水素を再生可能エネルギーから作り、実際に利用しようという計画がある。現在、計画に参画するNEDO、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業が「福島水素エネルギー研究フィールド」を福島第一原発のある双葉町の北側に隣接する福島県浪江町に、建設中だ。
これは出力10MWのメガソーラー(将来的には20MWまで拡張)とその電力で水素を製造する大規模な水素システム実証施設であり、広大な建設用地はかつて東北電力が「浪江・小高原発」を建設しようと長年保有し、福島第一原発の事故後、建設計画を中止して福島県に無償譲渡したものだ。

水電解システム(最大水電解電力10MW、最大水素製造量2000Nm3/h)は旭化成製が担当する。製造した水素は圧縮水素トレーラーで輸送し、燃料電池による発電用途、燃料電池車・燃料電池バスなどのモビリティ用途、工場における燃料などに使用される。2019年10月までに竣工して試運転開始、2020年7月までに技術課題確認・検証する実証運用および水素の輸送を開始する予定だ。東京に輸送した水素で東京オリンピックの会場のバスを動かすという。

この計画で、東芝エネルギーシステムズはプロジェクト全体の取りまとめおよび水素エネルギーシステム全体を担当する中核的存在であるが、同社はこの大規模な施設とは別に再生可能エネルギーによる水素製造、貯蔵、活用で新たな分野を開拓しつつある。それが、CO2フリーの自立型水素エネルギー供給システム「H20ne」である。

このシステムはコンパクトな自立型であり、その目的は平常時には施設の電気、温水、水素、それぞれの使用量と貯蓄量を監視し最適制御運転を行うことで電気料金の削減およびCO2排出量を低減し、緊急時には自立して電力・温水供給をすることだ。既に製品化されており、東芝はこれまでH20neを駅やホテル、スタジアム、工場などさまざまな用途向けに11台納入している。環境対策としてのアッピールと緊急時用という目的で採用されていると思われ、価格は公表されていないが、おそらく発電コストはかなり高いのだろう。

しかし、今後、採用例が増えてくれば、量産によりコストダウンの可能性がある。量産効果以外にも電気分解によらない方法を探るなど技術的改良によるコストダウンの可能性はある。大型集中に対して小型分散が今後の電源のひとつの方向と考えれば、このコンパクトな自立型システムを福島県内の自治体の施設などに採用することも有力な選択肢ではないか。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter