日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(42)

福島県への観光客数はここにきて震災前に戻りつつある。ただ、原発のある浜通り地方も事故直後は落ち込みが激しく、その後も他の地方に比べて回復が遅れている。まだ、解除されていない区域があること、JR常磐線が全線開通していないこと、地域はまだ復興途上で観光どころではないことなどが原因だ。

福島県は他の東北5県に比べても遜色のない自然の景観や歴史的遺産に恵まれているが、それを活かすという点では改善の余地が多い。県内を歩くと素材は良いのだが整備が出来ていない部分が目立つ。福島県景観形成基本方針を見ると、
「豊かな水と緑の織りなす美しい自然景観を守り、育てる」
「歴史と伝統が息づく景観を伝える」
「うるおいとやすらぎが感じられる美しい景観を創る」
「景観形成を魅力と活力ある地域づくりに生かす」
となっているが、現実はそうなっていない。
例えば、民謡で有名な会津磐梯山は県のシンボル的存在だが、写真に見るように山腹にはスキー場が大きな傷をつけている。磐越道のトンネルを抜け、猪苗代に入ると目の前に圧倒的な山容が迫ってくるのだが、この傷跡を見る度にため息が出る。

春の磐梯山

冬の磐梯山

この地域では看板などの色の規制をしており、コンビニの看板も茶色だが、そのほかは少数の風致地区を除いて、県内どこに行ってもどぎつい看板を挙げた全国チェーンの商業施設が立ち並んでいて、美意識はどこにあるのかと疑うばかりだ。 全国的な傾向なのだからこそ、福島県は規制を進め差別化を計るべきなのだ。

そもそも公共の建物が昭和に建てられたものが多いせいか、福島県庁、福島大学、県立医大病院、郡山市役所、駅など、デザイン性に乏しく美しいと感じることがない。そのせいか、先日、栃木県宇都宮市に行った際に見た栃木県庁の建物はことさら美しさが感じられた。残念なことに近年建てられた建物も官民問わず、美的センスや存在感のあるものは少ない。建物周辺や道路の中央分離帯の植栽の手入れも不十分であるため、かえって印象を悪くしている。

福島県庁

栃木県庁

浜通り地方に関しては、海辺の景色が売り物であったが、津波対策のため高い防潮堤が建設され、海沿いの道路からはほとんど海は見えなくなってしまったのは痛い。山も海も観光道路は整備されているが、見晴らしのよいところで停まり、ベンチに座って飲み物でも飲みながらしばらく憩うといった場所や施設がほとんど見当たらないので、走る車の中から去りゆく景色を見るだけで先を急いでしまう。せっかくの景観形成基本方針を言葉だけに終わらせず、さらに具体化すること、観光客の立場で考えることが求められている。

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