日本エネルギー会議

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福島第二原発の廃炉決定

本日、東電の小早川社長が福島県知事に対して福島第二原発の廃炉方針を正式に報告した。原発のある富岡町、楢葉町では原発関係者の中に廃炉反対の人もいたが、早速、両町の町長は財政面での国などの支援継続を訴えた。
これで同原発については新規制基準に沿った改造工事がなくなった。廃炉工事は先例もあり、原子炉周辺の解体に至るまでは比較的円滑に進むものと思われる。当面は使用済み燃料の搬出、キャスクを保管するための乾式貯蔵施設の建設が行われる。その先はタービンなどの機器の解体撤去、建屋の解体となり、この工程は30~40年としているが、自由度が高く、その時の情勢に合わせて進め方を決めることが出来る。定期検査のような山場はなく、作業量は年間を通して平坦だ。

東京電力としては人員のやりくりを考えれば、柏崎刈羽原発の再稼働、福島第一原発の1~4号機の廃炉や東通原発の建設が優先だろう。放射性廃棄物が出てくるのはまだ先であるが、その仮置き場所、処分場の検討や地元交渉は当分、差し迫った問題ではない。

福島第二の4基は、1982~1987年に運転開始しており、日本原電の東海第二原発より新しいプラント(東海第二は1978年運転開始で福島第一の6号機と姉妹機)であり、運転年数からすれば福島第二を東海第二より先に廃炉するのは順序としておかしい。東海第二に対する東電の資金的支援について外部より異論があるなか、微妙なタイミングでの廃炉決定となった。また、柏崎刈羽原発の6、7号機再稼働の条件に1~5号機の廃止を要求する声もあり、ここにも影響が心配される。

廃炉決定の影響はこれからだが、地元の雇用は再稼働の場合にくらべて明らかに少なくなる。先に避難区域が解除となった楢葉町の住民の帰還は55%だが、富岡町は帰還者が少なくまだ数%。かつて原発で働いていた元請け、下請けの従業員は避難先で職につくか、高齢で引退している人が多い。福島第二原発の廃炉工事は新たに地元以外から来る人が中心となっていくと思われ、この人々が新住民として地元に定住することが期待される。

福島第二原発の440万キロワットの電力は富岡町郊外にある新福島変電所を経由して福島第一原発469.6キロワットの電力とともに首都圏に向けて高圧送電をしていた。この設備は震災後も維持されており、福島第一、第二原発が廃炉になっても再生可能エネルギーによる電力を首都圏に送ることに使える大動脈が遺産として残された。

廃炉によって電力供給源が失われることで、首都圏を中心に関東一円の電力供給は火力発電依存を強め、停電リスクが増すことになる。首都の電源を失うことに対して政府もあえて火中の栗は拾わない。都知事をはじめ関東各県の知事は揃って福島県知事にいましばらくの猶予をお願いしてもよかったのではないか。福島第二原発や柏崎刈羽原発の存続に関して首都圏の知事たちが何も言わないのは何故だろう。

廃炉決定がもたらす最大の問題は、我が国が二酸化炭素排出抑制のための貴重な手段を失ってしまうことだ。既に全国で17基が廃炉になっているが、さらに100万キロ級を4基失うことは温暖化対策にとって痛い。電力供給と温暖化対策を考えればせめて停止を条件に当面の現状維持を確保するべきではなかったのか。内堀知事はこのあたりのことを理解出来ない人であるとは思えないが、自縄自縛になってしまったのかもしれない。

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