日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

直そうとしない体質

自宅の郵便箱に毎月届く「東京電力ホールディングスからのお知らせ」と題したA4カラー版のチラシがある。第一原発と第二原発が交互に月1回発行しており、双葉郡の市町村役場の郵送物の中に入れられて住民の手元にくる仕組みになっている。手元にある最も古いものは平成25年8月発行だからすでに6年続いている。

当初から、読ませてもらう度に、「図や写真と本文がマッチしていない」「用語が専門的で注釈なしでは理解し難い」「内容が二ヶ月前の状況で、新聞などで既に知っているものばかり」「文字が小さすぎて読めない」「図面などが会議資料のコピーなので素人向きでない」など、電話で発行元の現場の広報グループに改善を申し上げてきた。少しづつ改善が図られてきていることは認めるが、最近のものを見ても基本的に目的がわかっていない、いまだに読む人の立場で作られていない。

具体例として最新号の内容の一部を紹介しよう。タイトルは「2号機燃料デブリの取り出しに向けた準備作業の進捗状況」だ。(下の写真はチラシの実物)

何をおこなったのか
より実態に近い原子炉の温度変化を確認することを目的に、短時間の原子炉注水停止(3.0㎥/hから0.0㎥/h)を5月13日に実施しました。(5月14日確認終了)
注水停止中の原子炉圧力容器(以下、RPV)底部の温度上昇は0.2度C/h以下と予測と同程度であること、RPV底部温度や原子炉格納容器温度もおおむね予測の範囲内で変動していることを確認しました。また、ダストに含まれる放射性物質濃度の計測値に異常は確認されませんでした。

今後、どうするか?
得られたデータを評価し、より適切な緊急時対応手順の見直し等に活用していきます。

伝えたい内容は「デブリ取り出し作業を行うために、一時的に冷却水を止める、あるいは止まってしまう状況が考えられ、そうなった場合にデブリの温度が急上昇しないかをあらかじめ確かめておく必要がある。そこで短時間注水を止めるテストをしてみたが、短時間であれば温度上昇はわずかなものであることが確認出来た」ということだが、そのことがすっぽり抜けている。

これを読むのは避難している住民と避難解除後、町に戻っている住民である。伝えたい内容として私が「」で示した文章がなければ、ほとんどの住民は理解不能だ。かねてから、東京電力の現地の広報担当の方には、「福沢諭吉は自分で書いた原稿を女中に読ませて理解出来るかどうか確かめていた」「このチラシも社内の事務系女子か警備員のおじさんに見せて、内容を理解出来るか確認してから発行するべき」と忠告してきた。しかし、いまだにこのような状況であるので、東京電力の社員について、次のように考えざるを得なくなる。
・自分たちは優秀であり、外部からの意見を聞く必要がないと思っている。あるいは上司から、返事だけはしておいて無視してよいと言われている。
・チラシを作成配布しているという実績が大切なのであり、理解できているかどうかはたいした問題ではないと考えている。
・改善は少しづつやっていけばそのうち良くなる。ゆっくり改善していけばよいのだと考えている。
・内容が間違っているかどうかが一番の問題であり、わかりやすいか、新鮮な内容かどうかなどはそれほど重要ではない。
・業務多忙であり、仕事は担当者が責任をもってやることになっている。上司がいちいちチェックをするようなことはしない。(請負についても然り)
・相手の立場に立ってものごとを考えるという教育は、されているとしてもほとんど浸透していない。相手は東京電力の言うことをだまって聞けばよいと思っている。
・毎月作成するということになっており、それを実行していくのが仕事であって、何のために作成するかは自分たちが考えることではない。

A4版のチラシ一枚のことだが、東京電力という会社の体質、管理上の問題がボロボロと出てくる。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter