日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(43)

東日本大震災と原発事故があったのが2011年。それから8年半が経過している。福島の復興はその直後から始まったが、浜通り地域はいまだに避難指示が解除されない場所が残っている。復興は失われたものを取り戻し、そこからさらに発展を遂げることを意味するが、福島の場合は震災前に戻すのではなく、何もなくなったところから新たにスタートを切ると考えた方が現実的だ。津波で海水が入った仙台平野のように、浜通り地域全体が放射能汚染し、その他の地域も風評被害がひどかったために、除染をし、風評払拭をしてからの復興となった。

さらに認識すべきは、この8年あまりで最先端技術とそれを駆使した新たなビジネスの躍進で、世界の情勢が大きく変わったことだ。その先端技術とは「AI」「IoT」「5G通信ネットワーク」「ブロックチェーン」「インダストリー4.0」「サプライチェーン4.0」「フィンテック」「i-Construction」「EV」「自動運転」「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」などである。さらにロボットやドローン、再生可能エネルギー、蓄電池も加わる。これらの新技術の開発と実用化で先頭を切っているのはアメリカと中国で日本やヨーロッパがこれを追っている。

先端技術による経済面、軍事面での覇権争いがアメリカと中国によって始まり、日本にもその影響が及びつつある。福島県でも日産自動車関連、台湾資本傘下のIT企業が存在するが、そこには撤退縮小の動きが見られる。
福島の復興に当たって、少子高齢化と人口減少、東京一極集中、インバウンドなどに注目するだけでなく、社会を大きく変えていく先端技術をどのように取り入れていくかの視点が必要だ。福島ではイノベーションコースト構想のもとで再生可能エネルギーによる水素製造やドローンなどのプロジェクトが国の支援の下に進んでいるが、「我々にはイノベーションコーストがある」との自負が逆に落とし穴となってはならない。

福島県で盛んな製造業はもちろん、建設業、農林水産業、サービス業でも先端技術の導入拡大を進めなくては時代に取り残された復興になってしまう。商業においても店舗販売は通信販売に圧倒され、電子商取引、携帯電話での支払いが拡大し、銀行のATM台数が減少している。保険は通販型、物を買うのではなくシェアやリサイクルものが主流になりつつある。インバウンドを盛り上げるのはSNSなしでは考えられない時代だ。サービス業の人手不足解消も先端技術の取り入れが鍵だ。

福島の地方議会や行政もこうした事態に素早く対応し、復興にあたって先端技術を円滑に取り入れることが出来るような支援をするとともに、環境や住民をその負の側面から守るための規制も先回りして考える必要がある。

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