日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(44)

福島県浜通りではどの自治体も避難区域指定解除後の人口減少対策に取り組んでいる。富岡町では公営住宅がほぼ埋まったものの、現在町に住んでいる1千人強の住民(事故前は約1万4千人)の半分以上が外から来た人々だ。元の住民が帰還することはこれ以上期待出来ず、新しい住民に対する受け入れに力を入れようとしている。大熊町は解除された大河原地区に町の新しい庁舎と公営住宅を建設し、大々的なお披露目をしたものの、入居者が再度町を離れるケースも発生している。

自治体は、これまでのように公営住宅建設、病院の再開、スーパーマーケットや既存の商業施設の招致を中心とした施策だけでは不十分で、住民のニーズを的確に捉えた魅力ある居住環境を整備していくことを求められている。どこの町でもなかなか克服出来ない問題を解決しなければ、帰還住民や新たに来る住民の心をつかめない。

例えば、全国どこでも悩まされている野生動物の侵入防止にドローンを使用するなど徹底して取り組むことで、ここは猪や熊や猿などの野生動物に人が襲われたり、農作物が荒らされる心配する必要がないようにする。

次に挙げるとすれば、住民の足の問題だ。もともと高齢者が多かったが、帰還した住民はさらに高齢者割合が多くなっている。ほとんどの方は子供や孫とは離れて元の家で近所の仲間との関係を保ちながら元気に暮らすことを希望している。だが、80歳を過ぎれば車の運転が出来なくなる。都会と違い広い地域に点在して暮らしているから、まず日常の買い物と通院が問題になる。町内を好きなときに動き回れる手段が必要となる。タクシーは運転手の人手不足があるので、自動運転のマイクロバスやタクシー採用が望ましい。その場合、完全に無人ではなく地域の高齢者の中からまだ健康な人に添乗してもらい手当を出すようにするとよい。顔見知りの人が添乗してくれていれば安心して利用出来る。

帰還した高齢者のほとんどが、年金暮らしだから出来るだけ支出を抑えたいと思っている。高齢で一定の収入以下の世帯には住んでいる家に太陽光発電装置と蓄電池を設置するための費用を町が8割程度を負担し設置してはどうか。
20年間ほぼ電気代を支払わずに済むようにすることが出来る。町は大きな財政支出(200世帯分で約4億円)となるが、利用が見込めない施設を造るよりずっと喜ばれるし、その後の維持管理費も少なくて済む。

このようにありきたりでない住民サービスを展開出来れば、帰還した高齢者が定着し、帰還をためらっている高齢者もそれを聞けば帰還に踏み切るだろう。
     

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