日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

廃炉費用の抑制

福島第二原発4基の廃炉が決まり、廃炉になる原発は22基となった。事故炉である福島第一原発1~4号機以外の軽水炉の廃炉は、電力会社やメーカーの違いにかかわらず、ほぼ同様の経過をたどると思われる。平均1基数百億円の費用については廃炉積立金で賄うが、それは従来総括原価方式で消費者が支払う電力料金に含まれてきた。早期廃炉による積立不足分は今後とも電気料金に上乗せるしかなく、最終的にはすべて消費者の負担となる。

廃炉の体制は基本的に原発の建設やメンテナンスと同じになる。そこで仕事をするのは、従来から運転や定期検査に関わってきた電力会社と原子炉メーカー、ゼネコンとその系列下請企業にほぼ限定される。廃炉は製作・建設に比較して専門性は少ないが、ここでも原子力の世界に見られる参入障壁がある。政策的に地元企業の廃炉工事への参加を意図したとしても、多くは系列下請けのひとつとしてだ。日本原電が東海発電所で行ったような電力会社社員による直営の廃炉工事は他の電力会社では採用されないだろう。

このように廃炉は原発関連企業の存続や地元の雇用確保を理由に指名で発注される可能性が大きいため競争原理による廃炉費用削減は期待しづらい。とは言え、大手電力会社も完全自由化により厳しい競争にさらされるため、廃炉計画にかかる予算や人員がいつまでも聖域であるとは断言出来ない。いずれ廃炉の費用削減やペースダウンを考えざるを得ないだろう。

巨額の廃炉費用がかかることは原子力の復活にも影響する。原発が二酸化炭素を排出しない安定的かつ大規模電源であるにもかかわらず、原発を否定し自然エネルギーのみを推進しようとする人々は、福島第一原発の事故以降の原発の発電コストの上昇を原発否定の理由として指摘することが多い。原発が生き残るためには、環境に優しいとともにコスト面でも優れた電源でなければならず、廃炉費用を抑えることは再稼働する原発のためにも必要なことだ。
廃炉を進めるにあたっては、解体方法、除染方法、解体したものの分別保管方法などについて安全を確保しながら各社が協力して費用削減の工夫をすることが求められる。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter