日本エネルギー会議

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恐怖の蜂たち

ドローンは英語でもともとオスの蜂を表す言葉であったが、飛翔体が飛行する際にプロペラから出る「ブーン」という音が、蜂が飛ぶ時の羽音に似ていることから、ドローンと呼ぶようになった。

先月27日にAFPが伝えたところでは、レバノンのイスラム教シーア派の武装組織ヒズボラが、「イスラエルのものとみられるドローンがベイルートにある同組織の拠点に墜落したが、それには重さ5キロ以上の爆発物が搭載されていた」と公表した。日本でも2015年に永田町にある首相官邸の屋上に小型のドローンが落下した事件があった。犯人はドローンを官邸へ飛ばした動機を「反原発を訴えるため」とし、容器に入っていたのは「福島の砂100グラム」だと供述している。軍事用を除くドローンのシェアは中国のメーカーであるDJIが7割を占め、首相官邸に落下したドローンもDJI製だった。

ドローンによる攻撃は潜水艦発射ミサイルのように、ワゴン車で運搬してどこからでも発進が可能だ。すでにジャイロセンサーや気圧センサーGPSなどのデータを統合して姿勢制御や高度維持、自動飛行などを行うドローンも登場している。水中ドローンもありこれはさらにやっかいだ。オウムはロシア製ヘリでサリンを撒こうとしたが、もし当時ドローンがあったら大変だった。

官邸落下事件以降、ドローンの使用について規制が出来て、空港や原発など重要施設上空は飛行禁止になり、使用の際は届出許可が必要になったが、それは通常の使用についてであり、テロリストたちには何の障害にもならない。むしろ堂々と許可を取ってワゴン車に積んでターゲットに近い場所から発進出来る。

一番警戒すべきはドローンで電力や水などのインフラを攻撃されることだ。例えば浄水場に毒物を落とせば飲み水は長期にわたって使えなくなる。電力は発電所からいくつかの変電所、山の中の送電線を通って消費地に送られている。その一箇所でも攻撃をうければ、原発や火力発電所を攻撃しなくても発電所はストップし、広範囲な停電で社会は大混乱する。規制や柵はあるが発電所から首都圏に至る1000基を超す送電鉄塔を神出鬼没のドローンの攻撃から守ることは可能だろうか。送電線エリアにレーダーを張り巡らせ、近づくドローンを小型ロケットで打ち落とせるようにするくらいしか防ぎようがないだろう。

原発の再稼働の条件に特別なテロ対策施設を作ることにしているが、それをやるぐらいならドローンによるインフラ攻撃対策を怠るのは理屈があわない。中国軍はドローンの大編隊による攻撃を研究しているという。先端科学技術が得意で毎週のようにミサイルを発射する国は、当然ドローンによるテロ攻撃も考えているはずだ。「重要施設の上空は飛行禁止にしてあります」で済ましていてよいのだろうか。

地方では過疎地で荷物を運搬するのにドローンを使う実験が盛んに行われ、世界では人を運搬出来るドローンの開発まで行われているが、地上を走る車のような普及には人々の抵抗感が強いと思われる。エレベーターやエスカレーターは無人運転でも誰も怖がらないが、先日衝突事故を起こした無人運転モノレールは運転再開にあたり乗務員を戻さざるを得なかった。ドローンに対する警戒心もそれに近いものを感じる。どんなに性能がよく便利な機器でも人々の受容がネックになり普及が妨げられるのを見ているとドローンには原発にも通じるところがある。

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