日本エネルギー会議

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先鋭化する温暖化懸念(12)

福島第一原発の事故以降の8年間、温暖化に対する懸念はアル・ゴアがノーベル賞をもらった頃のようには話題に上らず、国内では後退したようにも思える。温暖化懸念を煽ると二酸化炭素排出抑制の決め球として原発が復活してしまうことを恐れた環境保護派や一部メディアが意図的に温暖化の話を控えているからだという穿った説もネットでは見られる。

今年は各地の集中豪雨、夏の異常な熱波、そしてアメリカ西海岸の森林火災と温暖化につながるニュースが多くなり、今月に入ってからはアマゾンの熱帯雨林の焼失とG7での議論が大きく取り上げられ、再び温暖化への心配が復活しはじめたようにも思える。

8年前に大津波・大地震や原発事故の被害を受けた福島の人々は「こんなことが起きるとは事故の前は考えもしなかった」と誰もが反省の弁を語っている。温暖化対策についても、どうやって被害を受ける前にその危機を理解させるが一番肝心なことではないか。今年のようにいろいろ起きてしまうと、誰もが温暖化に原因があるのではと考え始めるのだが、それだけでは深刻になるのはまだ先の話であり、自分の生きている間はなんとかなると考えて何もしない。

ヨーロッパでは子供や若者が温暖化対策を求めてデモを主導しているようだが、スローガンは「大人たちは私たちの未来を奪おうとしている」だ。そこで当面のターゲットとして考えられるのは小さな子供を持つ母親だ。今年生まれた子供が親になるころ、すなわち2050年に近づくと温暖化の影響は地球規模で相当厳しいものになり、熱波だけでなく、水や食糧不足で大混乱が予想されるからだ。子をおもう母親の気持ちは昔も今も変わらないから一番問題意識を持ってもらえるのではないか。

次に期待したいのは学生であり、これは学校の教育内容を見直して貰う必要がある。若者はこれから長い年月を過ごすわけだが、どんどん状況は悪くなっていて、今のような生活は出来なくなりそうだ。そのことをよく理解させる必要がある。彼らは自分たちにも生きる権利があるということを自覚するはずである。次は先の短い高齢者である。知らなかったとはいえ大量に温暖化ガスを出す生活を続けてしまい子や孫の世代に責任を感じているはずだ。
民主党政権時代に厚生労働大臣をやっていた小宮山洋子氏も「温暖化対策が政治課題の上位になかなかならない」とブログで嘆いているが、日本では政党も政治家もまだ一向に動きが鈍い。まるで原発問題と同じように「温暖化防止は票にならない」と言わんばかりだ。今売り出しの山本太郎の令和新選組も先の選挙で「原発を停止して火力でカバー」などと頓珍漢なことを言っている。

大人たちは、「自然は被害も恵みも与える、うまく自然と共生するのが日本人が得意とするところ」などと思っているようだが、将来やってくる温暖化の結果はそんな甘いものではない。

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