日本エネルギー会議

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新しい原子力企業

東京電力、中部電力、日立製作所、東芝の4社が原子力発電所の保守管理を担う共同出資会社を設立する方向で最終調整に入ったというニュースが報じられた。各社の原発保守管理に携わる部門を新会社に集約。ノウハウを共有することで作業の効率化やコスト削減を目指し、重複する部門の人員削減も検討するとしている。

4社はBWRを手がけているという共通点を持っているが、福島第一原発の事故以降の再稼働について関西電力、三菱重工業のPWRグループには先行を許し、いまだに再稼働にこぎ着けた原発はなく、特に中部電力は経営的に苦しい状況が続いている。これを機にBWRを所有する東北電力、北陸電力、中国電力それに東京電力の実質子会社である日本原子力発電が今後、どのような動きをするかが注目される。

東京電力は福島第一原発の廃炉という困難を抱えて人手不足に陥っており、メーカーである日立製作所と東芝は原発輸出も行き詰まり、製造現場を抱えた原子力部門の体制維持が難しくなっている。BWRグループを存続させるには今回のような措置がひとつの解であることは間違いではないが、電力会社とメーカーがひとつの企業に統合されるというのは自由陣営では世界的にも珍しい。 

国内最初の商業炉を建設する使命を帯びて設立された日本原子力発電は、まさに各電力会社、各メーカーからの出向者が大半を占める状況でスタートした。私が入社したのは設立から数年後であったが、それでも出向者が持つ各社独自の企業カルチャーは混ざり合い、ぶつかり合っていた。これを前向きな力とすることが出来るか、経営陣の力量が問われる。

もともとBWRとPWRの二つのグループがあった日本では、発注者と受注者は最初から変えようのない固定したものであり競争原理が働きにくかった。電力会社の原子力部門とメーカーの原子力部門の関係は発注者・受注者以上のものがあり、社内の他部門に対する以上に親密だった。電力会社は技術面でメーカー依存が強く、この点、欧米の電力会社とは違っていた。電力会社に対する監督官庁からの要求にはメーカーは全力で支援を行い、また電力会社はメーカーの体制維持に心を砕いていた。悪い例としては、福島第一原発の定期検査で検査官を騙すトリックをメーカーが提案していた事例がある。

電力会社、メーカーともに従来から子会社に現場の実務を再契約しており、新会社になってもこの関係は継続するものと思われる。この場合、従来の契約対象範囲をそのまま受け継ぐのか、新たな再編をして業務合理化と技術向上を狙うのか注目される。 また、処遇などについてどちらに合わせるのか、今後の新規採用をどのようにするのかなどの問題がある。社内で甲乙の関係の部門を二つ作って、今までどおりのことをするようでは新しい企業を作った意味はない。

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