日本エネルギー会議

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先鋭化する温暖化懸念(10)

今年誕生した子供は今世紀末には80歳になる。その頃、科学者の予測では温暖化により地球上はほとんどの哺乳類が生存出来ないほどの厳しい環境になってしまう。今後80年間の科学技術の発達は予想を上回るかもしれないが、政治や経済はそれほど進歩するとは思えない。自然エネルギーや核エネルギーを使って大気中の温暖化ガスを固定化する技術が開発されるかもしれないが、政治や経済はあいも変わらず過去の歴史を繰り返すであろう。

いつ果てるとも知れない国内の政争、大国同士の覇権争い、核開発や宇宙を含む軍拡競争、宗教的対立、途上国における政治的混乱と貧困、人口爆発と食糧難・水不足、難民の大量発生など。どれひとつ取っても、これから80年のあいだにすんなり解決をするとは思えない。この点は多くの読者の賛同を得られるはずだ。

それにもかかわらず、温暖化による異常気象で自然災害が年々人々に襲いかかり、途上国では洪水、干ばつ、不作などで多くの死者を出し、先進国では生産設備やインフラなどに多大の被害が発生する。その規模はいままでの何倍にも達すると見込まれる。問題は、そのダメージにより、人々を温暖化の被害から護り、先端科学技術を活用した温暖化抑制方法の開発が出来なくなることだ。

ある人によれば、温暖化対策を本格的にやろうとすれば、世界各国が第二次世界大戦のために使った資金と労力を必要とするという。今世紀半ば、温暖化の影響に打ちのめされた人類にそれだけの力が残るのかが心配だ。
生産活動が低下すれば、それにともなう温暖化ガスの排出も減るが、既に大気中に出てしまった温暖化ガスの影響や、メタンなど温暖化ガスの自然発生を誘発してしまったこと、北極の氷が溶けてしまったことなどの影響は容易には少なくならない。

「国際社会が直面している課題は多岐にわたり、温暖化防止はその重要な一つであるが、唯一至高のものではない」あるいは、「地球温暖化を止めることに反対する人はいないだろうが、毎年100兆円以上のコストをかけて気温を0.05℃下げることが、経済政策として効率的かどうかは国民的な議論が必要だろう」などと主張する識者がおられるが、私は以上のように80年後までの経過を想像するので、その主張に賛成できない。
温暖化が進めば異常気象による被害が拡大し、さらなる貧困、飢餓、病気、食糧と水の不足、雇用喪失が起きる。また、温暖化は人々の必死の改善努力を無にしてしまう。だから、至高とは言わなくても、温暖化対策は文句なしに特別優先課題であるべきである。

各国は温暖化ガスの発生を思い切ったレベルまで抑制するとともに、過去150年間にわたって大気中に放出しつづけてしまった二酸化炭素を固定化する方法を早期に開発することに注力すべきだ。古い科学技術の利用が引き起こした環境問題は、あてにならない政治で解決しようとするのではなく、最先端の科学技術で解決するしかない。その開発状況については次回以降に。

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