日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

電力の統計は信用出来るか

昨年暮れに発覚した毎月勤労統計の不正に続いて今年に入ってからも政府の統計の不正が毎月のように続き、総務省の統計委員会が政府の288統計のうち178統計に問題があると発表するなど大きな問題となった。統計は物事を検討する土台になるもので、このような状況ではとても先進国とは言えないと識者を嘆かせている。

電力関係の統計も最近の実態を正確に表しているか疑問だ。従来、9電力会社に沖縄電力を加えた10社が発送電を独占していたため、国は各社から実績を報告させることでほぼ正確な年間発電量、消費量、電源比率、世帯あたりの年間使用量などを把握し資源エネルギー庁のホームページに表示していた。

しかし、電力自由化と再生可能エネルギーの成長によってこの統計の信用性がぐらついている。例えばソーラーパネルを屋根に載せる世帯が増えているが、各世帯には報告義務は課せられていない。各世帯がどのくらいの電力を発電し、自家消費し、余剰を売っているかについては統計には現れてこない。一世帯分では小さいが、全国で見ればその電力量は無視できない。
日本でもRE100(自社で使うエネルギーを100パーセント再生可能エネルギーにするという運動)に賛同する大企業が増えているが、そこでは自社の工場にソーラーパネルや蓄電池を設置し、自ら消費するケースも増えている。最近、セブンイレブンが店舗の屋根にソーラーパネル、敷地内に蓄電池を備え電力の自給自足の挑戦を始めた。コンビニは24時間営業で電力消費も多い。全国のコンビニが電力の自給自足を始めれば、その影響は大きいと思われる。

これとは別に、ブロックチェーン技術を活用した電力のP2P(Peer to Peer)取引が始まろうとしている。2年前に設立された東大発ベンチャー企業のデジタルグリッド社は発電事業者と需要家が直接取引を行うことができるプラットフォームの構築を行い、従来の卸電力取引所(JEPX)を介さない新しい電力取引を目指している。この会社には東京ガス、九州電力、住友商事、日立製作所、清水建設、ソニーなどが出資している。

こうした電力の流れは資源エネルギー庁が把握出来ていない。国の統計では電力需要が年々減少傾向にあるが、こうしたことも影響しているかもしれないが、そうであることすら確かめようがないのが現在の電力統計である。国会でも温暖化対策など環境問題が取り上げられているが、再生可能エネルギーに関するしっかりした統計もないようでは、将来の電力供給体制の議論も出来ない。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter