日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

先鋭化する温暖化懸念(16)

温暖化による気温上昇の抑制目標はパリ協定を守っただけでは達成出来そうもなく、各国はさらなる対策の前倒しをしようとしている。こうした根本的な対策とは別に、対症療法的な対策の見直しも同時に行わなければならず、その期限も切迫している。

そのことを実感させたのが台風15号による千葉県内の被害だ。被害状況を空から見て驚くことは、ほとんどの家が屋根を損傷して見渡す限りブルーシートがかかっていることだ。最大で57メートルの強風が吹いたとされているが極めて広範囲に凄まじい風が吹いて、トタンはめくりあがり、屋根瓦が飛ばされた。その後雨が降ったことで雨漏りし、住宅として使えなくなった物件がほとんどだ。

建築して間もない物件は無事なところが多かったようだが、古い建物は軒並みやられた。設計施工の時点で基準が低かったうえに、建築後のメンテナンスはほとんど行われていなかった。今回はたまたま千葉県に大きな被害が出たが状況は日本全国どこでも同じだろう。千葉の状況を見て日本では歴史上なかったとんでもないことが起きていると思わねばならない。

今後、国として建物の強度などを抜本的に見直さなければならないのは間違いない。防災マップを見直し、危険な場所は建築を禁止し、あらゆる建築物の強度を上げ、それを維持していかなければ命と財産を失う可能性が高いのだ。 
送電線も道路も鉄道も港も空港もあらゆるインフラの強度について風速60メートルに耐えられるようグレードアップする必要がある。おそらく家は鉄筋コンクリートでつくらなければならないだろう。日本より低緯度の国々では風速80~90メートルの強風を経験しているので、風速60メートルでは足りないかもしれない。住宅や道路に近い大木はいまのうちに切り倒しておく必要がある。

危険な地域が明らかになると、安全な地域への住民の大移動が起きる。新たな建設と補強にための投資規模は太平洋戦争で焼け野原になった状況からの復興に匹敵するであろう。例えそうであっても、簡単な補強などで済ませていれば、それこそ住民も企業も全財産を失うことになり、死者も一回の災害で何万人に上るだろう。そうなれば日本は国として成り立たなくなる。

テレビに出てくる政治家も防災の専門家たちも、このようなことまで言う人はほとんどいない。メディアも停電がまだ何軒あるとか、高齢のひとり暮らしの住民がブルーシートを張れなくて困っていることしか話題にしていない。あと何回かどこかで千葉と同じような被害を出し、昭和時代の建築物がどれも全壊し何万人もの人が路上に放り出されなければ、抜本的な対症療法的な対策は政治家も言い出さないようだ。果たしてそれが政治と言えるのだろうか。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter