日本エネルギー会議

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処理水問題にひとこと

元環境大臣の原田氏が最後の記者会見で「所管外ではあるが、あえて福島第一原発の汚染水を処理したものは海に放流するしかない」と発言。大きな波紋を呼んでいる。さらに後を引き継いだ小泉新大臣が直後に福島県を訪問。漁業関係者に「みなさんを傷つけたことをお詫びする」としたことから騒ぎはさらに大きくなった。処理水が全国的に話題になって国民の関心を呼んだことは確かであるが、原田氏の「私は捨石となっても」の発言などは、「国が地元の反対を押し切っても処理後の水を敢えて流す危険なことをしようとしている」との印象を一般の人々に与えてしまったのは拙かった。
資源エネルギー庁のホームページを見ると、処理前の汚染水の発生は年々減少しており、さらなる努力をするとしている。

汚染水の発生量(トン/日)

処理後の水(トリチウムは100万ベクレル/リットル)はタンクに貯められているが、山から流れてきて原発の建屋群を大きく迂回させて海に捨てている地下水(地下水バイパス)や建屋に入る前に建屋周辺の井戸(サブドレン)でくみ上げた地下水は規制基準よりも厳しい「運用目標」を下回る濃度であることを確認したうえで海に排水されている。その規制基準や運用目標は次のとおりだ。

地下水バイパス・サブドレンなどでくみ上げた水の「運用目標」と規制基準(単位はベクレル/リットル)

資源エネルギー庁HPより

表によれば、運用基準は規制基準の1/40、WHO飲料水水質ガイドラインの1/7~1/6だ。規制基準は一般の人には馴染みがないが、水道水やWHOは一般の人も理解しやすい。
タンクに溜まった処理後の水(トリチウムは100万ベクレル/リットル)を100倍に希釈すれば、トリチウムは10000ベクレル/リットルになり、WHO飲料水ガイドラインの値と同じになる。もし、1000倍に希釈すれば1000ベクレル/リットルとなり飲料水ガイドラインの10分の1になる。何故、処理後の水を放流することの安全性について水道水ガイドラインとの比較で説明して世論の支持を得ようとしないのだろうか。

東京電力の廃炉資料館に調べてもらったところ、福島第一原発で実際に海に放流している地下水バイパス・サブドレンなどでくみ上げた水のトリチウム濃度は、それぞれ120ベクレル/リットル、980ベクレル/リットル(201
9.8.21時点)となっており、運用基準の1500ベクレル/リットルを十分に下回っている。今でもタンクの水を1000倍に希釈したものと同じ程度の水を放流しているのだ。(これは漁業関係者もわかっている)
処理水の問題では、総放射能量の低減を目指すべきと考えるが、国や東京電力には毎日の発生量をぎりぎりまで低減させる工夫を期待したい。また、トリチウムの半減期が12.3年であることを利用し、地上で一定量を保管し時間をかけて放射能量を下げることは有効な手段であると考える。

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