日本エネルギー会議

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台風被害と原発事故

台風19号による千曲川の氾濫で北陸新幹線の長野新幹線車両センターが水没、330億円の新幹線車両が廃車の恐れがあるという。何故あのような場所に車両センターがあったのか、何故早めの避難をさせなかったのかと疑問を持っていたが、昨日の報道で原因がわかった。

JR東日本は車両センター建設にあたり、1996年に水没の危険を考慮して最大1.2メートル水没と計算し、2メートルのかさ上げをしている。その後、2007年になり、県のハザードマップが公表され、最大5メートルの水没の可能性が明らかになり、今年の8月にはさらに10~20メートル以内に更新されたが対策は見送られた。それでも前日に天気予報で川の氾濫を予測して、車両を高い場所に移動するといった最低限の対策は出来たが、それもやらなかった。それをやるには前日から新幹線の運行を停止する必要があったのだ。また、退避基準、手順もなかったようだ。

これを知ってすぐに福島第一原発の事故のことを思い出した。1971年に海抜10メートルに原子炉建屋を建設後、長いあいだ問題視はされなかった。2002年頃に新たな知見が発表されたが、理由もなくまだ大丈夫だと考えたこと、運転停止になることを避けるために、非常用電源の強化など、とりあえず出来る簡易な対策もやらずにいたことなどJR東日本と同じで、退避基準、手順がなかったと言っているところもそっくりだ。

同じく台風19号で、岩手県山田町田の浜地区で山から流れてきた多量の雨水で多くの家屋が水没した。この地区は東日本大震災の津波の後、高さ3メートルの防潮堤を400メートルにわたって町が建設。放水路が不十分で今回の大雨で海への排水が出来ずに水たまりになり多くの家屋が被害に遭った。防潮堤建設は住民が反対したが町が押し切って建設した。建設するのであればよほど排水路をしっかり造るべきだった。これも防潮堤は作らず、津波発生のしらせで避難するようにすれば、金もかからず大雨で水没することもなかった。

これを知って、福島第一原発の事故後に各地の原発で高い防潮堤を建設し、さらに海水が回り込んで入ってこないように脇にも防潮堤を巡らしたことを思い出した。厳重な防潮堤建設については北海道大学の石川迪夫名誉教授が、万一津波が中に入ったときにいつまでも水が抜けずに問題であると指摘されている。

人は場所が違っても同じことをするという例だ。ひとつの目的だけで何かを行うとそれに伴うデメリットも必ず発生する。総合的に何が一番良いかを考えなくてはならない。また、とっさに簡易な方法でもよいから手を打って備えることが有効であることがこれらの例からわかる。そうしないのは、運転停止にしたくないという気持ちが強く、問題を明らかにしたくないということが背後にあるのだろう。

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