日本エネルギー会議

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先鋭化する温暖化懸念(20)

「気候サミットに美しいスピーチはいらない。具体的な計画を持ってきてほしい」。今年、グテーレス国連事務総長は記者会見で各国の指導者にこう呼びかけた。このままでは今世紀末には人類社会は大混乱になるとの危機感が強く感じられた。「考えられる事は起きるし、考えられない事も起きる」は福島第一原発の事故以降、既に何度も経験している。おそらく今世紀末には大混乱の中で、子や孫は悲惨な末路をたどるだろう。私が悲観的になるのは、「慣性」という物理法則があるからだ。

慣性(inertia)とは、ブリタニカ国際大百科事典によれば、「力を受けなければ物体が等速度で運動状態を保持する性質である。言い換えれば,力を受けたときに,運動状態の変化に抵抗する性質。力を受けた物体は,質量が大きいほど速度を変える割合 (加速度) が小さくて,速度の変化に抵抗しようとする慣性が大きい。すなわち,運動の慣性を表わす量は質量である。」となっている。

手漕ぎボートはすぐに停止し、方向転換出来るが、タンカーのような大型船舶はスクリューを逆回転させても、舵輪を一杯に回しても、衝突回避するまでに何分もかかる。地球温暖化に伴う異常気象、地表の変化はとてつもなく巨大な物質を対象としている。ひとたび沸いた風呂のお湯を冷ますためにもある程度の時間がかかるのに、太平洋の海水は莫大な量であり、「質量が大きいほど速度を変える割合 (加速度) が小さくて,速度の変化に抵抗しようとする慣性が大きい」となると、海水温度を1度下げるにはどれほどの力が必要か想像も出来ない。こうした計算結果はまだ見たことがないが、概算でもよいから知りたいものだ。

もし、一部の科学者の「地球は小氷河期に入りつつある」との主張が正しくても、今世紀末頃までは慣性によって温暖化に伴う異常気象や地表の変化は収まらないのではないか。大型台風、山火事、高潮、干ばつ、熱波などにより既に大きな損害が地球上のそこかしこで起きている。

国際政治情勢は常に混乱が続いて、核軍縮もミサイルの削減も出来ていない。ここにも慣性が働いているようだ。もし、パリ協定が世界各国の支持を得ることができ中国、アメリカ、インドなどの二酸化炭素大量排出国において減少に向かうと仮定しても排出ゼロ達成には数十年の時を経なければならないのは確定的だ。地球温暖化の影響による食糧危機、水飢饉は大量の難民の発生につながり、国内の騒乱、国際紛争が起きることは避けられない。
人類社会という大型客船は操舵室の面々の意見がまとまらず、まだ十分に停止をかけておらず、このまま停止も方向転換も出来ずに氷山に激突して沈没してしまうようだ。

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