日本エネルギー会議

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変わりつつある日本のエネルギー事情(3)

福島第一原発の事故以降に増加した石炭火力は、ここにきて温暖化の原因である二酸化炭素の排出源として逆風が吹いている。電力会社は原発の再稼働が進まないなか、旧式の火力発電所を廃止し最新鋭の高効率のものに置き換えていきたいのだが、こうした動きを批判する人が増えている。LNGも石炭より少ないとはいえ二酸化炭素を出すことに変わりはないので、2050年のパリ協定実質二酸化炭素排出ゼロ達成のためにはLNG火力も最終的に停止させる必要がある。

そうなると現在大きく依存している火力発電の発電量を原発の再稼働、再生可能エネルギー、省エネ・節電によってカバーしなくてはならず大変厳しい状況に陥る。この課題をクリアするには、まだ時間がかかると思われる。そうしたなかで関西電力の金品受領問題は原発の再稼働に対して手痛いマイナスだ。

再生可能エネルギーは固定価格買取制度(FIT)によって発展する土台はつくられたが、現在のところ水力発電と太陽光発電が圧倒的で風力、地熱、バイオなどは立ち上がっていない。原発は再稼働せずに廃炉をするものが多いが、廃炉をするのならそれに見合った再生可能エネルギーなどの電源を造るための投資が伴わなければならないはずだ。廃炉だけして代わりを作らないのは国のエネルギー政策として危機管理がなっていないと言わざるを得ない。電力自由化は安定した供給が確保されるという見通しの下に行われるべきだ。

地方はそれぞれ再生可能エネルギーで自給自足が出来るようにするべきで、実際そのような動きが見られる。そこでは大型蓄電池開発がその鍵を握っている。問題は三大都市圏のような大きな需要があるが電源を十分に持っていない地域だ。ここは周囲からの供給に頼るしかないが、なるべく近い複数の場所から供給を受けるようにするべきだ。

首都圏を例にとれば、現在東京湾岸に数多くある火力発電所はいずれ廃止しなくてはならないので、これに代わって周囲の千葉、茨城、栃木、埼玉、群馬、神奈川、山梨の各県から再生可能エネルギーで作った電力を供給することが考えられる。千葉県銚子沖の大規模な風力発電所から海底ケーブルによる供給もそのひとつである。出力が不安定な自然エネルギーを主要電源にするならば、安定供給のためビルなどに大型蓄電池の設置することや関東県で走るEVのバッテリーを動く蓄電池として活用する必要もある。

これらの動きはまだ始まったばかりであり、過渡期である現在の状況はBWR型原発の再稼働が進まないかぎり極めて脆弱なものである。万一、関東地方が大地震大津波に襲われた場合、送電線や電柱のことはさておき電源の問題に限っても、近場の火力発電所に大きく依存している首都圏では、昨年北海道で起きたような大停電になることはほぼ確実だ。即位された天皇が国民の安寧を祈られたことは、それだけ危機が迫っている警告と受け取る必要がある。
 

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