日本エネルギー会議

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福島の復興を考える(49)

東日本大震災と原発事故のあった福島県は、今回の台風19号の豪雨により全域で大きな被害を受けた。福島県は一級河川の阿武隈川が南の白河市から北の福島市へ縦断している。その阿武隈川に沿って平野が広がり、新幹線、在来線の東北本線、国道4号線、東北自動車道という大動脈がすべて通っており、その周辺に白河市、須賀川市、郡山市、本宮市、二本松市、福島市など主な都市が存在する。今回この一番人口が多い地域が大きな被害を受けた。

阿武隈川は支流が30本もあり、阿武隈川との合流地点のいわゆるバックウォータ(阿武隈川が満水で支流から流れ込めず、支流側で溢水する)で浸水した地域が多かった。

他に浜通りの南端のいわき市と北端の相馬市、南相馬市に比較的大きな河川があり、ここでも床上浸水が相次いだ。浜通りでは原発のある中程の部分は津波の危険はあるものの、大きな河川もなく洪水の危険は少ない。いつも河川の氾濫や土砂崩れのある会津地方は今回被害が少なかった。原発事故でいわき市、郡山市、本宮市など避難し、そこに家を建て再び被害に遭った人もいる。避難当時、宅地を求める人が多かったため、ハザードマップ内であっても家を建ててしまったのである。 

今回の水害は家だけでなく、工場、商業施設、商店街、農地、果樹園など広い範囲で損害をもたらしている。郡山市の中央工業団地では全域が水没し、すべての企業に被害が出た。福島第一原発の事故の除染に伴い出た放射性物質を含んだ土壌を入れたフレコンバッグが流出する事態も発生している。

いままでも阿武隈川は何回も氾濫しているが、治水工事はそれなりに行われてきた。しかし今回のような規模の豪雨には持ちこたえられず、今後も温暖化による異常気象で同じような豪雨が降ると考えると、従来のような堤防の再構築やかさ上げでなく、この際、復興に併せて抜本的な対策が取られなくてはならない。三陸地方での復興事業のように、ハザードマップで浸水する恐れのある地区はそのままでの再建は認めず、移転先を整備して町全体の移動を考える。堤防のみに頼らず、遊水池や地下貯水場などによる水を貯留する方式を採るべきだ。  

須賀川市や郡山市の例では、過去に阿武隈川と支流の合流地点近くには遊水池が設けられていたが、それを埋め立てて宅地にし、商業施設をつくってしまっている。これを元に戻さねばならない。堤防のかさ上げやポンプによる汲み上げにだけ頼っていると、いつかまた大きな災害になる。福島第一原発の事故があった2011年、郡山市内の阿武隈川近くの低い土地が浸水したことがあったが、それは排水ポンプの故障によるものだった。本宮市の中心部の商店街も昔から存在するものだが、今後のことを考えれば多少の地盤のかさ上げという戦力逐次投入方式で再建することはやめたほうがよいだろう。

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