日本エネルギー会議

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先鋭化する温暖化懸念(21)

今月8日、米国サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、「気候変動は無視することのできない経済問題だ」とし、「気候変動に伴う事象は、直接的な混乱だけでなく、それをはるかに上回る影響をもたらす。富を破壊し、既に存在する所得の不均衡を助長し、最も深刻なケースでは人々が住む場所を永久に奪われることにもなり得る」と述べた。

日本経済団体連合会は「低炭素社会実行計画」をつくり毎年実績を確認するなど、(1)国内事業活動からの排出抑制、(2)連携強化、(3)国際貢献、(4)革新的技術開発の4本柱を通じ地球規模・長期の温暖化対策に貢献する産業界の自主的取組を進めている。

先日の千葉や宮城福島の台風被害で工業団地全体が水没してしまうなど地域経済は既に大打撃を受けている。経団連や経済同友会などの団体、あるいは各業界団体はもっと真剣に自らの事業に異常気象が与える損失を防ぐ対策を行うべきだ。各団体の事務所や参加する大手企業の本社はほとんどが東京都心にある。もし、都心水没などという事態になったら日本経済は一瞬にして脳死状態になる。かつて首都移転構想などがあったが、いつのまにか立ち消えた。今こそ真剣に主要官庁、大企業の本社などの移転、あるいは緊急時に指揮を取る場所やデータセンターの二重化を考える時だ。

災害対策は国土交通省だけの問題ではない。全省庁が異常気象による被害にどのように立ち向かうかの対策を検討するべきである。また、民間企業も交通機関や電力、ガスなどのインフラ関係の産業だけでなく、農林水産業、製造業、建設業、サービス業など個別に異常気象による被害をどのように防ぐかを考える必要がある。

そのためには各業界が、今回の台風被害をつぶさに観察し、自らの工場や事務所が同じ程度の自然災害に見舞われた場合、どのような被害となるか、それを防止する、あるいは軽減するためには何をしておくべきかを考え可能な限り早期に実行する必要がある。先年、タイで大洪水が起きて、多くの日本企業の工場が水没したが、今度はそれが日本国内で起きるのだ。既に災害は激甚化するとともに広域化しており、気象庁の言う「直ちに命を守る行動」だけでなく、「直ちに産業を守る行動」をしなければ、我が国の経済活動が停止するだけでなく、二度と立ち直れなくなるダメージを受ける可能性が高い。

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