日本エネルギー会議

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重荷となる不採算部門

今、銀行はどこも日銀のマイナス金利で苦境に立っているが、それに追い打ちをかけているのが、支店の窓口やATMを維持管理する費用負担だ。支店を統合したりATMを他行と提携するなど可能な限り縮小するにせよ高齢者などの利用者がいるので全部なくすわけにはいかない。このままキャッシュレスやインターネットバンキングが進めばNTTの固定電話のようにまったく収支が合わなくなる。

衣料品や日用品は高齢者を除いてほとんどの人がインターネットで購入しているのに加えて、中古品がネットで流通しはじめ新品が売れなくなっている。デパートや家電量販店は通販も始めているが、いままで通り広い売り場を持っていることで店舗の維持費や人件費などが大きな負担となっている。

電力自由化後の大手電力会社も同様で、儲けの出ない部分を切り離すことが出来ずに苦しんでいる。「ポツンと一軒家」という人気のテレビ番組を見ていると山奥の一軒家にも電気が供給されていることが多い。これは地域独占時代のユニバーサルサービスのなごりであるが、いまだに料金に見合わない長距離の送電線のメンテナンスを安い料金でやらされている。

大手電力会社が過大な負担をさせられている典型的な例は原発である。国策民営の原発の再稼働や核燃料サイクル死守、政府の決めたエネルギー基本計画を形の上で守るために、電力会社は追加工事、長期停止期間の維持費、廃炉費用、六ヶ所の再処理工場の分担金、関係団体の会費、日本原電への支援などを継続実施しているが、これで競争力のある電気が生産出来るかの見通しはなく、逆に債務保証などで連鎖倒産しかねない。このしがらみはこれからますます大手電力会社の経営上の重荷になる。

今後、大手電力会社が古い送配電設備の更新、異常気象対策の費用が十分に確保出来なければ、これからは日本が世界に誇る停電時間の少なさを誇ることは出来なくなるだろう。主力である石炭火力発電所が温暖化対策のために炭素税を払うようなことになれば石炭火力はたちまちコスト高の電源となり、建設中の最新鋭機までも座礁資産化する恐れがある。

そうなると大手電力会社の株主である機関投資家や個人株主は株を手放すようになる。その株を大量に買って大手電力会社を支えるのは国しかいなくなり、今の東京電力のように実質的に国が支配することになる可能性が高い。今は大手電力会社にとって次のビジネスモデルを確立しなくてはならない大事な時期である。重荷となっている不採算部門の問題を放置していては大手電力会社は自立した経営が出来なくなる。   

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