日本エネルギー会議

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変わりつつある日本のエネルギー事情(5)

福島第一原発の事故以降、停止している原発の代替として石炭火力への依存度が高まった。燃料である石炭の輸入は価格、輸入先の国情ともに石油より安定的し、建設に対する地域住民の反対も原発と比べれば少ない。環境アセスメントを含め計画から運転開始までそれほど年月を要しないからだ。

既設の石炭火力発電設備は約100基、発電容量は4000万 kWに上る。東日本大震災以降、50基の新増設計画が浮上し、8基が稼働済でさらに20基が着工し、今や石炭火力はLNGとともに我が国の電力供給の大きな柱になっている。ただ、地球温暖化対策の観点からは下のグラフは見るに耐えないものだ。

石炭火力は高効率の設備が開発されているとはいえ、依然として他の電源に比べて二酸化炭素の排出は多い。石炭火力が金融機関の融資や付保拒否という思わぬ形で強制退場させられそうなことを前回のエッセイで書いた。では、これからは火力発電の存在価値が無くなるかと言えばそうではない。

ここに朗報がある。石炭火力発電は燃料を石炭からバイオ燃料に変えることで二酸化炭素フリー電源にすることが出来る。静岡県富士市の日本製紙工場内の石炭火力発電所「鈴川エネルギーセンター」を運営する同社と三菱商事パワー、中部電力は今月センターを2022年4月までに再生可能エネルギーのバイオマス発電に転換することを決めた。石炭火力から転換するバイオマス発電所としては国内最大規模になる。今後、日本では石炭火力発電所を順次バイオマス発電所に変換していくことが考えられる。

この場合、一番の課題はバイオ燃料の供給だ。日本は森林に覆われているが安定したバイオ燃料の供給は出来ておらず、東南アジアなどからの輸入に依存しているものが多い。国内の林業再建の中で、間伐材などの供給体制の構築を急がねばならない。バイオマス原料となる植物が生育する間に大気中の二酸化炭素を消費するが、これは過去の分を食っているだけである。そのため日本による国内外での植林の推進も考えねばならない。 

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