日本エネルギー会議

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石炭火力ゼロへの挑戦(5)

石炭火力ゼロの条件としての再生可能エネルギー倍増と節電・省電の可能性について検討している。今回は地熱発電を取り上げる。経済産業省「長期エネルギー需給見通し」によれば、下表のとおり地熱発電は2030年までに3.2倍にするとしている。

はたして、それは達成可能なのか。地熱発電に関して一般的に知られていることは、
・天候、季節、昼夜によらず火力発電並の安定した発電が可能である。38箇所の地熱発電所のうち1万kw以上は14箇所でいずれも規模が小さい。
・日本は火山国で世界有数の地熱発電のポテンシャルを持っている。
・火山帯や地熱地帯の分布から、東北と九州に集中的に建設されている。
・日本メーカーの技術は高く海外の地熱発電の70パーセントを手がけている。
・探査・開発に費用と期間を要することや、温泉の湧出湯量の減少・枯渇を懸念する観光業界や地元自治体からの反対があり開発は進んでいない。
・初期費用が高い。メンテナンスに手間と費用がかかる。
・火山噴火などの自然災害に遭遇しやすい。
である。

日本の地熱発電所は全国の発電出力を合計しても約52万kw(世界第10位)、年間発電電力量はわずか255万9千kwh。日本の年間電力需要9500億kwhの約0.0003パーセントでしかない。地熱発電はベースとなる設備容量の数字が51万kwと小さいので3倍としても約150万kwである。絶対値としてはたかだか平均的火力発電2基の出力規模で日本全体の電源としては今のところ存在感が希薄だ。2030年までに規模を画期的に拡大するためには温泉に影響がないバイナリー方式を全国に普及することが考えられる。

現在利用されている地熱発電の発電方式は、
⑴ドライスチーム:簡単な湿分除去を行い蒸気タービンで発電する。 
⑵フラッシュサイクル:熱水を汽水分離器にかけて蒸気タービンへ送る。
⑶バイナリーサイクル:
低沸点の熱媒体を熱温水で沸騰させタービンへ送る。源泉の枯渇問題や、有毒物による汚染問題、熱汚染問題とは無関係。地下に井戸を掘る工事は不要であり確実性が高く、設置スペースも小さい。

日本ではバイナリーサイクル方式が有望と思われ、全国の温泉地で実施すると数100万kwもの電源になるとの試算もある。国内最大の大分県の八丁原発電所11万2000kwもイスラエル製のバイナリー方式である。福島県の
土湯温泉につくられた小型のバイナリー発電所は全国から見学者が絶えないという。日本はこの方式に注力するのがよい。現在の全国で51万kwの地熱発電を3倍の150万kwにするのはそれほど難しくなさそうだ。

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