日本エネルギー会議

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石炭火力ゼロへの挑戦(6)

石炭火力をゼロにするための条件として再生可能エネルギー倍増と節電・省電の可能性について検討しているが、今回はバイオマス発電を取り上げる。


この表によれば、バイオマス発電の設備容量は現在305万kwで、これは大型の原発や火力発電所の3基分に相当するに過ぎない。2倍の600万kwにするためには、あと大型原発3基分を上乗せすればよいことになる。

これまでのバイオマス発電所の平均的な出力は1万kw程度で、大型原発の100分の1である。現在、木質バイオマスで稼働中、建設段階、構想段階のものを合計すると250箇所あるが、そのうち1万kw以上のものは109箇所で全体の43%にあたる。このうち10万kw以上は6箇所で所有者は大手電力会社がほとんど。最大でも関西電力の相生発電所2号機の20万kwだ。今のところバイオマス発電所は原発や火力発電所にくらべて比較的小規模のものが全国各地につくられていると言えよう。

バイオマス発電は運転に伴い二酸化炭素を排出するが、植物などの生物資源を燃やしているため、二酸化炭素フリーの電源として扱われており、再生可能エネルギーの中では天候に左右されず、設備利用率80%台の安定した発電が期待出来る。環境影響も少なく国内の森林資源の活用につながるとされている。

FITが始まった頃、バイオマス発電の買い取り価格が高く設定されたため、地場企業から多くの企業が参入し、電力会社も地球温暖化で逆風となっている既設の火力発電所の燃料を石炭からバイオマスに変更することを考えた。
その結果、2018年3月時点でFIT認定されたバイオマス発電の容量は740万キロワットになり、その時点で計画ベースでは2030年目標に達してしまった。しかし、そのうち現在までに稼働したのは約130万kwで認定された2割弱にとどまっている。その理由は、人手不足もあって国内の林業や製材業で生じる木材を有効活用出来ず、燃料が輸入頼みとなっているからだ。

国産の木質ペレットは輸入品と比べると2~3倍のコストで競争力がなく、生産も横ばい。外国産の木質ペレットの輸入量がここ5年間で約6倍に増加しており、国内調達は全体の約2割程度となっている。燃料を確保できている事業者は一部に限られ、認定を受けたが稼働に至らない計画が数多く出ている。海外から燃料を調達する際には、途上国の環境破壊や他国との取り合いなどの問題も発生する可能性があり将来的に燃料供給が不安定になる恐れがある。

国内の林業からの木質ペレットの供給には、大型ドローン、遠隔操作の重機などの活用で人手不足、高齢化をカバーすることが考えられる。大手電力会社商社などが国内外からの安定したバイオ燃料調達に道筋をつくり、既存の大型中型の石炭火力をバイオマス発電所に転換する一方で、地方の自治体が地域のエネルギー源として森林資源を活かした小規模のバイオマス発電所を作るなどして、これからの10年間、毎年30kwの設備を増やしていけば、全国のバイオマス発電の設備容量、発電量ともに現在の2倍にする目標を達成出来る。

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