日本エネルギー会議

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コロナウイルスと放射能

目に見えず、音も出さず、臭わない。知らぬ間に拡散してしまう。新型コロナウイルス騒ぎのニュースを見るたびに放射能汚染と似ていると思う。原発の汚染管理区域の出口には体表面モニターがあって、そこを通過する際に数十秒間立っていれば、体表面に付着した放射能を検出出来る。基準値を超えれば出口のドアが開かない。新型コロナウイルスはその存在を知るためには、検体を採取してPCR検査にかけなくてはならい。放射能のようにその場で計測出来ないので、検査機関の受け入れ能力に限界があり、検査したくても出来ないことが大問題になっている。ちょうど福島第一原発の事故の時に、避難先の施設に入る前に野外で身体の簡易な汚染検査が行われたが、測定器と測定者が足りず長い列が出来たのを思い出す。

原子力の世界でも初期の頃は汚染管理がなかなかうまくいかなかった。
1970年代の始めには、原発から放射能のついたブラシが管理区域外に出てしまい、別の研究所でそれがモニターにひっかかったりした。外国人技術者が身体の汚染をしたまま宿舎に帰宅。そののちに本人が汚染していることがわかり、さらに調べるとその夫人の下着から放射能が検出されたこともあった。そうした失敗を繰り返して今日の汚染管理用の機器が開発されルールが出来上がった歴史がある。

一般大衆の健康被害を防ぐという点でも原発事故による放射能汚染の広がりと新型コロナウイルスの拡散は似ている。福島第一原発の事故の際、民主党政権は半径20キロ圏に即時避難するよう指示を出し、それを強行的に実施したため、地元自治体を始め住民たちも大変な思いをした。しかし、結果としては被ばくも最小限で済み後の不安もそれほど起きなかった。避難に伴う関連死は数多く、いまだに収まらないが、直接放射線で健康障害が出ることはなかったし、そのことで後に不安を持つ人も多くは出なかった。

原発事故で住民全員を汚染した可能性のある地域から追い出したのに対し、今回の新型コロナウイルスでは汚染したクルーズ船内に大勢の人を閉じ込めた。汚染管理の原則に逆らった措置だ。政府は対策を小出しにし、しかも具体的指示ではなく、当事者の判断に任せるようなことをしていた。かと思えば安倍首相はいきなり全国の小中学校、高校を休みにすると言いだして、学校関係者や保護者を混乱させた。本格的な予行演習なし、専門スタッフや避難場所不足、対応機材や食料などの備蓄がなかったなども福島第一原発の事故の場合と同じ。国としての危機に対する準備は相変わらず不十分なままだ。

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