日本エネルギー会議

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いかにソーラーが簡単か

電源には多くの種類があり、それぞれ長短がある。安全性、安定性、経済性、環境影響などの他に社会の受容性があり、その時々の社会情勢、人々の好感度によって他の長短にも増して受容性が電源選択の大きな要素になっている。卑近な例が石炭火力発電だ。最近になって世界的な地球温暖化対策が叫ばれるようになると、二酸化炭素排出量の多い石炭火力は必要以上に人々に嫌悪感を持たれている。

社会の受容性と似ているが明らかに違う要素として、一般の人々にあまり理解されていないものに建設と運転維持の容易性がある。これは実際に携わっている者にはよく理解出来るものだ。水力発電所は大規模な土木工事が難関で、黒部ダムの例は映画にもなった。火力発電は水力発電よりずっと大掛かりで複雑な装置であり、建設、運転保守とも技術的にハードルが高い。また、爆発火災などの危険性も伴う。

原発は装置としてさらに大きく複雑で、放射性廃棄物の処理処分問題もついてまわる。建設に当たって大地震に耐えるだけの地盤が要求され、この証明だけでも大仕事だ。その設置のための審査をパスするのに何年もかかる。装置としては火力発電に比べてほぼ4倍の密度があると言われ、検査の項目、数量も多く、運転操作、保全修理ともに高い技量が要求される。運転にあたっては他の電源にはない放射線管理、汚染管理をする必要があり、これだけでも神経を使う。

原発を建設し運転する側からすれば、最近登場したメガソーラーなどは、装置としては家々の屋根に設置出来るくらい簡単な構造であり、運転は無人。周辺の草刈が大変だなどといっても、原発構内の緑化維持の何分の一でもない。建設地の確保に当たっては環境審査や地元からの反対もあるが、原発とは比較にならない簡易なものだ。耐震設計審査に時間がかかったという話も聞いたことがない。

原発は計画から発電開始まで少なくとも10年~20年かかるが、メガソーラーは1~2年で出来上がってしまう。20年間の買取り期間が終わっても発電出来なくなるわけではない。その間、原発のように毎年、定期検査のために2~3ヶ月も停止することもない。最近、撤去後の大量のソーラーパネルが産業廃棄物としてどう処分されるかを心配する声は上がっているが、原発から出る使用済燃料や放射性廃棄物の問題の深刻さと比べようもない。

原発を推進する側から見れば、メガソーラーは出力が小さいのでいくつ建設しても原発1機分の発電量には程遠く、安定性もないが、ゴルフ場の跡地にも建設出来るなど、建設や保守がなんと簡単な発電装置なのだろうと正直うらやましく思える。原発の関係者の苦労は建設計画から廃炉、廃棄物処分まで大変なもので、これらは結局、稼働率や経済性に影響を与えてしまう。また、わずかなトラブルで長期に停止させられるので、安定的な電源という長所も少なくなってしまう。原発が関係者にとってもっと気楽なものになるよう、もっとシンプルな装置に改良しなければ、発電効率なども年々改善している再生可能エネルギーに将来も対抗していくことは難しい。

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