日本エネルギー会議

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原発が自治体の金づるに

報道によれば、新潟県柏崎市は東京電力ホールディングスと市内に立地する柏崎刈羽原子力発電所で保管する使用済み核燃料の「経年累進課税化」でおおむね合意したようだ。至れり尽くせりと言われた原発がらみの地元への財政貢献はついにここまで来たかと思わざるを得ない。新方式の課税の理由は使用済み燃料の県外搬出促進だというが、この方式が各県に波及すれば、原発の経済性に大きな影響を与え、電力会社が動かない原発を抱えることが今以上に重荷となる。

もともと原発は国策民営であり、国はその推進のためにさまざまな制度、法律を作って立地を側面から支援をしてきた。よく知られている電源三方交付金は「地元に対する迷惑料(当時の科学技術庁長官発言)」として田中角栄内閣当時成立したが、水力、火力に比べて原発はより多くの金が地元に落ちるようになっている。この交付金は計画段階から交付され、建設中が最も高くなるが、運転開始から年数が経つと固定資産税とともに減っていくため、地元はその補填を要求しさまざまな理由をつけて運転開始後も交付金が出るように措置がされてきた。最近では、原発が廃炉決定した後も、廃炉期間中は交付金が出るようになっている。

その後、福島県が国と電力会社に原子炉内にある核燃料を対象に核燃料税の創設を認めさせた。これに福井県などが追随し全国に広まり、税率を徐々に上げてきた。六ヶ所村の再処理工場が完成しないため、各原発では使用済み燃料が貯まるようになり、構内に乾式貯蔵庫を建設して青森県に送り出す前の仮貯蔵をするようになっている。この使用済み燃料に対しても一本いくらという形で課税しようとする動きがある。そもそも再処理工場のある青森県は、大量の使用済み燃料や廃棄物に対して課税を行っている。今や原発と使用済み燃料は完全に金づる化している。県も核燃料税の分け前に関して地元市町村との争奪戦があり、パイを増やすことには熱心だ。

先ごろ、東京電力は青森県に対してふるさと納税制度を使って2億円を寄付したという記事が出た。これも新手の財政貢献で、国から資金援助されている東京電力が巨額のふるさと納税をすることについては疑問を持つ向きもあろう。各電力会社、そして日本原燃は廃棄物を一定年限で県外に搬出すると約束している。福島第一原発においても解体した廃棄物、また、除染によって発生した汚染土壌は30年後に中間貯蔵施設から県外搬出を約束している。こうしたものに対す
る課税も考えられる。

原発や使用済み核燃料が際限なく立地自治体の財源になることで、全国の原発立地地域で自治体の原発依存体質を助長し、自立心を失わせていくとともに、課税による原発コストの上昇は消費者に降りかかってくる。こんなことでは、日本の原子力も自治体も正常な発展をするはずがない。

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