日本エネルギー会議

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怖くて買えないマンション

東北第一の都市仙台の中心部では高級マンションが次々に売りだされている。
広告を見ると晩翠通りに面した新築タワーマンションで1LDKが2900万円、4LDKが9100万円である。いくら魅力的な立地と高いクオリティとはいえかなりの高額だ。もし買えたとしても管理費が月3万円、修繕積立金が月2万円、駐車場が1台あたり月3万円、さらに固定資産税・都市計画税が年15万円では、毎月10万円近くの出費となり自分のマンションでありながら家賃を払うくらいの金がかかる。

もし、購入の際、管理費や修繕費が決まっておらず、入居してから毎月いくら請求がくるか分からなければ、誰も怖くて買えないだろう。ところが、そんな方式で40年前から原発を造り続けたのが電力会社だ。国策民営方式ということで、何かあっても国が面倒を見てくれるという考えがあったのかもしれないが、今になって管理費、修繕費が高騰し、加えて使用済み燃料の置き場や高レベル放射性廃棄物の処理処分の具体策が見えてこないため、今後いくらの請求書が来るかもわからない状況になっている。さらに9年前の福島第一原発の事故後に安全基準が改定され追加の建設工事が求められ、それ以外にも福島第一原発の廃炉費用の負担が毎年膨らんでいる。

現行のエネルギー基本計画の元になっている資料に、原発が他の電源より一番安いとなっているので、このあたりはどうなのかと資源エネルギー庁に問い合わせると「表記をよくご覧下さい。原発だけは10円~となっています」と回答があった。さすがは頭のよい役人のやることだと感心したが、それなら高級鮨店のように「時価」と書いておいてほしいものだ。火力発電所は燃料のコストに占める割合が大きく、かつ燃料となる石炭や天然ガスの国際取引価格が大きく変動するはずだが、それについては心配していないようだ。

現役の電力会社社員が何でこんなに維持費や追加の請求書がくるのかと、先輩たちを恨んでみても後の祭りだ。経営努力や電気料金転嫁が出来なくなれば、あとは国に税金で補填してもらわねばと考えるだろう。原発導入当時の政治家や電力経営者は皆あの世に行ってしまって、現役以降の世代がその後始末をつけるしかない。出来ることは、なんとか知恵を出して費用を安くやることだ。将来かかってくる費用が未確定のまま、次から次へと原発を建設してしまったことが、我が国の原子力政策の最大の失敗である。

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