日本エネルギー会議

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避難指示が解除された町の人口問題

福島第一原発の事故で避難指示の対象となった福島県浜通りの町村はいずれも人口の回復が進まないことに悩んでいる。特にいまだに帰還困難区域が解除の目処が立っていない浪江町、双葉町、大熊町、富岡町の4町は深刻だ。
富岡町を取り上げて、その実態と将来への展望をのべてみよう。2020年3月に作成された富岡町災害復興計画(第二次)後期に参考になる図が掲載されている。 

もともと人口が1万5千人弱あった富岡町では、現時点で住民登録をしている人が1万人を超しているが、それは県内外に避難している人の分も含まれており実態とはかけ離れている。そこで町は特別に町内居住者数を調べており、それがこの図である。年々順調に回復して現在は1200人を超しているように見えるが、原発事故のあった2011年以前からの住民の帰還は朱色で示されている半数の600人に過ぎず、グレーの新たに町外から移り住んできた人が半数を占めている。2019年10月以降、元の住民の増加が止まっている理由は次に示すアンケート結果を見ればわかる。

元の住民の半数が「戻らない」ことを決意しており、「既に戻っている」「将来的に戻りたい」を合わせても15パーセントに過ぎないことから、これから帰還者が増えることはほぼ期待出来ない。特に若い世代にその傾向がある。
2019年10月以降、町の人口の増加は元の住民の帰還ではなく、新たな町民の増加によるものだ。これからは帰還した住民は高齢者であるため年に1パーセントづつ亡くなり減っていく。その結果、新たな町民の占める割合が確実に増えていくと考えられる。その核となるのはお隣の大熊町の福島第一原発とお膝元の第二原発の廃炉の雇用である。これは40年続くと見込まれており、人口回復、まちづくりのための大変有望な長期安定産業と言うことが出来る。
町の復興計画を読むと、国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」である急速な少子高齢化の進行へ的確に対応し、人口減少に歯止めをかけるとともに東京一極集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保するための地域社会の形成、多様な人材の確保や就業機会の創出を一体的に推進する、を意識していることがわかる。

昨今の新型コロナウィルス感染拡大で、テレワークなどの新たな働き方、暮らし方が話題になっているが、富岡町など浜通りの地域は温暖な気候や広く平坦な土地、海に面したリゾート的な雰囲気、首都圏からの適度な距離に恵まれており、新たな暮らし方に最適なところである。これは今から20年前に富岡町に移住した当時の私の考え方でもある。既に県内には運転する原発はなく、廃炉工事の安全性が理解出来れば、これからは富岡町は多くの人に住みたいと思ってもらえる地域である。

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