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的確な指摘

原子力産業新聞の読者は原子力業界の関係者が中心であり、一般の人たちには馴染みがないが、今年1月30日の識者に訊くのインタビュー記事「わが国原子力産業界の進む道」はもっと多くの人に読んでもらいたい内容だ。
ウェブでもhttps://www.jaif.or.jp/journal/study/leaders/vol001.htmlで読むことが出来る。

バーバラ・ジャッジ氏(英国原子力公社名誉会長 東京電力原子力改革監視委員会副委員長)とリチャード・レスター教授(米国マサチューセッツ工科大学)にインタビューをしているが、両氏とも日本の原子力について客観的に状況把握をしており、評価出来るところと残された課題をきちんと分けて指摘しているのでわかりやすい。

まず、「東京電力が原子力安全監査室を設置し、独立的に原子力部門の活動を監視していることについて、このような監視活動は、社会の信頼回復にむけて国民の目線から自分たちのやり方が正しいのかどうかを検証するためで、大変重要な取り組みだ」としている。いままでの原子炉主任技術者などのスタッフや監査室、考査室などの組織は経営の中に取り込まれてしまったのに対してより独立性がある部署をつくったことを評価している。取り込まれないことが存在条件である部署は恐らく電力会社の中では初めてだろうと思うので、これは的確な評価だ。

次にジャッジ氏は「原子力規制委員会が新たな検査制度を開始し、現実的かつ一層改善された手順が構築されていくのは望ましいことだしつつも、重要なのは原子力規制委員会と原子力産業界が、互いに意見を述べ合うオープンな関係を作ることであり、それがあってこそ、再稼働を含めて原子力発電の建設的な議論ができる」としている。

剣道でもボクシングでも相手との適度な間合いを取ることが大切と言われているが、チェックする側とチェックされる側の間合いを取ることも大切だ。これが日本人は苦手で、すぐにべったりの仲になるか、神経質なまでに他人行儀になるかのどちらかに行きやすい。以前の原子力安全委員会、原子力安全・保安院と電力業界、今の原子力規制委員会・原子力規制庁と電力業界の関係もそうだ。ジャッジ氏は日本の規制当局と電力会社は互いにフランクでオープンな関係には見えないと指摘している。外国人からはぎこちなく見えると正直に言ってくれている。

風評被害問題についても「なるべく多くの人たちが現地に足を運んでくださり、そしてその多くの人のなかには、例えば科学者であったり、教師であったり、子供を持つお母さんであったり、あるいは映画スターのような方がおられるのも良いと思う。なるべく多くの人たちに実際に福島に足を運んでいただいて、現地のものを食べていただく。そしてそのおいしさを理解したうえで、友人や知人にこれを実際に伝える。これが何よりも情報の伝達方法としては良いのだと思う」として述べているが、大いに参考にするとともに実行に移すべきだろう。

環境負荷とエネルギー供給の両面を同時に解決するには、原子力の存在は不可欠であるとしたうえで、「ここで重要になってくるのが政治のリーダーシップであり、地方自治体のリーダーの役割である。原子力発電所の再稼働について自分たちの意見をはっきり示すべきだと思う」と指摘している。日本の政治家たちが批判の矢面に立つのを避け、責任を果たさず逃げ回っていることに対してそれではいけないと言いたいのだろう。

日本では同じような認識があったとしても、自らもその一翼を担ってきた部分もあり、ずばりそのことを指摘するのは難しいこともある。両氏の経験や見識の高さに敬服するとしても、外国人からすれば指摘された内容はごく当たり前のはずだ。

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